MiKn Project Op.1 二つのコンサート

MiKn Project(ミクンプロジェクト 通称ミクプロ)というヴァイオリニスト西谷国登さんと、ピアニスト石渡真知子さんによるユニットが行うコンサートに行ってきた。

会場は埼玉県坂戸市にある「TTT森の響きホール」。

先日2月5日に、チェリストの大木翔太さんを加え、ミクプロの初コンサートであるOp.(オーパス)1-1が大泉学園のゆめりあホールで開催された。今回はOp.1-2と題して、中心となる曲は同じだが、場所と趣向を変えて演奏するのだ。

ところで、このOp.1-1には、なんと自分が出演した。
前半に西谷さんの「KUNITOのPodcast!」の公開収録をしたからだ。レギュラー出演している僕に「出てください」という話を、もう半年以上前にもらっていて、そのためにダイエットとかアレとかソレとかに励んでいた(つもりなんだ)けれど、結局、負傷だの食べざかり(ただの言い訳)だの、とにかく不摂生を改善できずに「素」どころか、ややマイナスなコンディションで出演したよ。

言わば「初顔出し」だったのだけれど、“僕が誰だか”当然知っていると思っていた人に「えー!アンタだったの?」的なリアクションされたりして、声の印象って変わるもんなんだなーと改めて感じた。
あと、とても小さなファンの方がねぎらいの言葉をかけてくれて、当日の出来に落ち込んでた自分としては、これを糧に、もうしばらくは頑張っていこうと思った(まだ始まってもいないくせに)。

そんな1-1の話は置いておいて……今回の1-2は、そういう出演者としてのプレッシャーもなく純粋に観客として楽しみに行った。

前述のTTT森の響きホールは、石渡さんのお父様が建てた小ホールで、外観は普通の一軒家なのに、中に入ると全面が木で覆われた素敵な空間が広がっている。ただの装飾品と思われるオブジェも音の反響や吸収を考えて置かれているそうで、響きにとことんこだわって作られた場所だ。
足を踏み入れただけでも、なんだかワクワクしてくる。

まずは石渡さんのソロ演奏、メンデルスゾーン 無言歌より「紡ぎ歌」作品67-4からコンサートは始まる。
フォルテピアノという楽器(普通のピアノの正式名称はピアノフォルテ)での演奏で、ピアノとはもちろんチェンバロとも違う小気味良い音を奏でる楽器だった。舞台の右に置かれて、楽器のボディが客席側に向いているので、僕のところから石渡さんの演奏姿が正面で見られたのがレアだった(テレビ中継見てるみたい)。
シンプルで可愛い曲だけれど、右手が常に軽快に動いていて、その右手どうなってるの?と思った。ちなみに僕は石渡さんが演奏中に左手を挙げる仕草が好きなので、それをこのアングルで見れてラッキーだった(超個人的趣味だな)。
あとフォルテピアノは、後で鍵盤みたら黒鍵と白鍵が逆だったのが斬新だった。この辺りは歴史を辿ると“沼”にハマりそうな気がする。

続いてはメンデルスゾーンのヴァイオリンソナタ第3番 ヘ長調。
演奏自体も素晴らしかったが、このホールがさらに演奏を輝かせる。とても良い響きで、暖かい優しい音色に包まれるような体感ができた。
ピアノは低音が床から沸き立つようで、高音にかけて奥行きがあり、ヴァイオリンの音色は360度に広がる感じ。この曲のお二人の演奏は動画でも聴いているけれど、同じ曲でも環境によって違って聞こえる。
第1楽章は最後が特にカッコイイ。第2楽章はせつなくもドラマティック。第3楽章は出だしにハッとしつつ、でもドイツ作曲家らしさなのか、きちんとシステマチックな進行で作られている気がした。
ピアノもヴァイオリンも早くて動き続けるフレーズが盛りだくさんで、弾ける人が聴いたら(見たら)もっとすごく感じるんだろうなー。
あと、これを2月5日も弾いてたんだなーと思うと感慨深い(燃え尽きてちゃんと聴いてなかった)。

換気休憩をはさんで、サン=サーンスの「白鳥」をチェロとピアノで。
組曲「動物の謝肉祭」で最も有名かつ、チェロといえばこれというこの曲は、「紡ぎ歌」同様、今回初演奏。大木さんの演奏が優雅で心地よかった。
このホールだと、チェロは鳴りが太い。高音は抜けが良く、中低音は太い。チェロの演奏の良いところが感じられたので、やっぱりこの楽器の代表曲なんだと思った。

最後はサン=サーンス ピアノトリオ第1番 ヘ長調 作品18。
第1楽章はフレーズを受け渡すところなど、わかりやすい聴きどころが多く、曲として面白い。弦同士が受け渡して、合わさって進行していき、ピアノが支えながら、時に交わるのが美しい。
第2楽章。繊細なパートが多く、お互いを感じ合わないと破綻しそうに思うが、3人がしっかり息を合わせていて素晴らしい。それも体育会系の「掛け声をかけるような」んじゃなくて、自然と染み込むような合わせ方が心地よい。
緩急をつける箇所が多かったが、ホールのおかげでその緩急が響きになって、はっきりとわかった。最後、最初と同じメロディなのに楽器ごとの役割が代わっているのが面白かった。
第3楽章。細かい動きが多い。弦はフィンガリングをつかったりして、ちょっと小粋なシャンソンっぽさを感じた(最後のところなんか特に)。
そして第4楽章。最終楽章だからか、華やかで集大成な楽章。中盤、ピアノに支えられながらのヴァイオリンとチェロの追いかけっこが華やかで面白い。後半はドラマティックで独創的。
演奏の前に、石渡さんから「フランスの曲は絵画鑑賞のように、色彩豊かで眼で楽しめる音楽」という解説があったが、そのとおりの印象でとても良かった。

アンコールのブラームス ハンガリー舞曲第6番まで、良質な音楽に浸れたコンサートだった。
お三方のキャラクターだろう、全体的にサービス精神旺盛な明るく楽しい演奏会で、落ち込むことが多い世相だからこそ、こういう演奏を聴けてよかった。
「音楽には力がある」ということを実感できる時間を過ごせた。

Op2は9月に開催。次回も楽しみにしたい。
ご興味ある方はぜひご来場を。ちなみに僕は出ません(なにこの自己主張)。