サロンコンサートの魅力

ピアニスト坂田麻里さんのリサイタルに行ってきた。

石神井公園でサロンコンサートを長く続けている坂田さんが、今回はその拡大版というか特別編という感じで大泉学園のゆめりあホールでコンサートを開いたのだ。
ピアノソロ曲の他、石神井Int’lオーケストラを支えるプロの弦楽奏者たちとの弦楽五重奏での共演も。

ピアノソロの曲目は、シューベルトの即興曲から、アルベニス、ラモーと続き、時代も国も(当然その文化も)違う曲がずらりと並ぶ。
時代や作られた背景によって曲の特徴は大きく異なるが、坂田さんの演奏は、演奏者が同じであっても、それぞれの特徴が強く感じさせる引き出しの多さがあり、またバラエティーに富んだラインナップにも面白さがあった。
そして、ラ・カンパネラのような(どのピアニストでもきっとこの道を通るだろうという)超絶技巧の曲も巧みに弾きこなして実力をみせる。
また、ソロ曲の最後にガーシュインを持ってくることで、現代につながるピアノの歴史を感じられる構成になっていた。

そしてソロの後は、今回のメインイベントともいえる、ピアノと弦楽五重奏によるショパン ピアノ・コンチェルト第一番ホ短調 OP.11。
そもそもはピアノソロとオーケストラの曲ということで、僕はこのオーケストラ版を聴いたことがないのだが、西谷国登さんを中心とした石オケ講師陣の五重奏の演奏は「もし、この曲がオーケストラで奏でられていたら」どういう雰囲気になるのかが想像できるような、迫力と奥行きのある演奏だった。
それぞれのパートがピアノを引き立て、ピアノも弦楽の作り出した音色の上に重なり合うようで、まとまりの良い演奏になっていた。

坂田さんが、気軽に演奏を聴く機会を増やしたい、とプログラムの挨拶で書いていたように、生演奏を肩肘張らずに聴くことができ、これを機会にまた別の演奏会にも行ってみたいという気にさせるコンサートだった。
サロンコンサートの魅力はこういう部分にあるのかもしれない。