C級ワイン探訪記『マクギガン ザ・プラン シラーズ』

数日前からケンタッキーフライドチキン(KFC)が食べたくてしょうがなかった。

いや、数週間前から、と言ったほうが正しい。
でも先週はセールをやっていたせいか、いつ店を覗いても混んでいて、なんとなく待って食べるのは嫌だったので、我慢していたのだ。

で、今回仕事帰りに立ち寄ってみたら幸運にも空いていたので、買って帰ることに。
それに加えて、今は“バカみたいな”(褒め言葉)チキンフィレサンドである「デラックスフィレサンド」を売っていて、唐突にこれを食べてみたかったというのもある。

ビールでフライドチキン、というのが鉄板だなーと思いつつも、ワインが飲みたい気分だったし、マクドナルドではないがKFCもザ・ファーストフード。
それなら、ついでにブログネタにもしてしまえ!と急遽思いつきで、新たなワインを飲むことになったのだ。

選んだワインは『マクギガン ザ・プラン シラーズ』。オーストラリアのワインである。
並んで「ピノ・ノワール」が売っていて、最初はそれに手を出したのだければ、オーストラリアと言えばシラーズかな、と思い直したのだ。

僕のバイブルである『ワイン一年生』によると、シラーズはアメリカワインに似て、BBQのようなこどもおいしい料理に合うという。
それならば「ぼくの考えた最強のチキンサンド」を具現化したようなデラックスチキンフィレサンドと合うんじゃないかなーという直感もあったのだ。

さて、オーストラリアワインを飲むのは久しぶりだ。
グラスに注いでみると、色が薄い。一口飲むと、色からくる印象に近いスッキリした飲みやすさを感じる。とはいえ薄口なわけではなく、色味からくる印象よりも味わいは濃い。

特筆すべきは酸味の強さ。舌に絡みつくぐらいの酸味がある。あんまり飲んだことのない感覚で、これは好き嫌いがわかれるかも。
甘みはほとんどない。逆にキリッとした果汁をそのまま飲んだような味わいで、これはこれで美味しいと思った。
シラーズの特徴はスパイシーというが、まさにそのとおりな味わい。ちなみに人工アルコール感はほとんどなかった(これは良い点)。

さて、普段と違ってKFCとのマリアージュ。

まずはポテト。ケンタのポテトはやや太めで食べごたえがあって美味い。マクドナルドのポテトよりもジャガイモ感は強い。

で、この素のポテトと合わせてみたら、とりわけ美味しくなったわけではないのだけれど、ワインの味がさらに濃くなった気がする。単純なイモと塩の味がワインそのものの味を引き出すのかも。
ケチャップをつけたポテトと合わせると、今度はワインにやや甘みを感じるようになる。これまた、それが美味いには直結しないが、飲みやすくはなった。
ワイン単独だと、飲めば飲むほど後味がズッシリと、エグみが強くなるが、ケチャップの甘みで中和される気がする。

さて、メインディッシュのオリジナルチキン(部位はリブだった)。
とにかくケンタッキーはこのオリジナルチキンが美味いよね。大好き。
他の店では出せない味というのがまた特別だよね。
と、KFC上げコメントになってしまったが、ちゃんとワインとのマリアージュをしてみよう(そういうブログだぜ)。

さて、チキンと合わせたワイン。
これが美味い!ワインの味が落ち着くのだ。
弱かった甘みが引き出され、酸味が抑えられ、ほとんど感じなかった苦味がちょっとでてきて、バランスの良い味に変化したのだ。
このワインは単独で飲むのと、マリアージュするのとで印象が大きく変わる。こんなに変わるのは初めてかもしれない。

さて、今一度書くが、シラーズは“こどもおいしい”ワインという。
では、無茶しやがって、という感じで作られたデラックスチキンフィレサンドとは果たして合うや否や?!

他のサンドのように紙で包まれているのではなく、箱の中に鎮座ましましてるデラックスチキンフィレサンド。キングオブキング感(≒中二病感)強い。
このサンドは具材としてハッシュポテトが挟まっているのだが、僕は基本バーガーにポテトを入れるのには反対派。あまりに邪道だと思う。
でも、なぜ食べてみたかったかというと、あまりのバカさ加減に、じゃあこのビッグウェーブに乗っておこうかと思ったのだ(疲れてたのかもしれないね)。

で、食べてみて、まず思ったのは……

馬鹿にしてごめんなさい。これ美味しいです。

まず、スパイシーコブソースが美味い!それから邪道と思っていたハッシュポテトのサクサク食感と、辛口のソースを中和するポテトの甘みがむしろ必要。
これ本当にウマい!

じゃあ肝心の、このワインに合うのか?というと、すごく合う!!

フライドチキンで感じたワインの落ち着きっぷりが1段階上がる感じ。
ソースの辛さがワインの特徴的な酸味を弱め、とはいえ、それを消すまでには至らず、一番バランスのとれた味に変化させる。
マクドナルドには、この系統の味のメニューがないから、ケンタッキーと合わせたのは正解だった(ただコブソースはBBQソースにも通じる甘みがあるので、マックなら期間限定の「スモーキーバーベキュー」と合うかもね)。

さて、このワインの結論。
ここまで単独飲みとマリアージュでの印象が違うのは珍しいかも。

単独で飲むにはやや物足りないが、確かにこどもおいしい、つまり単純な甘味、辛味がはっきりした食べ物と飲むと、ワイン自体の味のバランスが良くなる。
合わせるもの次第でぐんと美味しくなるワイン。ベースは酸味が強いので、やっぱり甘みの強いものと合うのかな。

一応補足しておくと、498円で買ったのは割引期間だったようなので、実際はC級よりちょい上かもしれない。
で、チュカロのカベルネや、カルロロッシのダークを凌ぐわけでもない。
ただマリアージュでの味の変化を楽しんだり、極端なスパイシーさを求めるといった変化球としてアリのワインだと思う。
それとKFCと合うことだけは間違いない。

DATA:
マクギガン ザ・プラン シラーズ
購入場所 サミット
価格 498円(税抜)

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