魔法の国の魔法にかかる

そんなわけで東京ディズニーシーに行ってきた。

数ヶ月前、友人たちとご飯を食べながら「タワー・オブ・テラーに乗りたい!」と宣言したところ、その場で行く日が決まって、そしてあれよあれよと本番当日(それが昨日だ)を迎えたのだった。

コースターは大好きだけれど、フリーフォール系のアトラクションは好きではない。むしろ高所恐怖症なので苦手なはずなのだが、タワー・オブ・テラーだけは「乗ってみたい」という思いがずっとあった。なんと13年越しに。

僕が前回ディズニーシーへ行ったのは13年前。
その時、タワー・オブ・テラーはまだ建設中で、ディズニーリゾートラインから見たその光景がなんだか特別に思えたのかもしれない。それと、1回転するコースターが苦手だった当時の彼女が、レイジングスピリッツなら大丈夫と言って2回も乗っていたように、フリーフォールが苦手な僕でもディズニーのアトラクションなら、そんなに怖くないだろう、とフリーフォールデビューをするのにちょうど良いという考えもあったのかもしれない(建物の中だから、高さをさほど感じないというのもある)。

で、念願のタワー・オブ・テラーに朝イチで乗る。

想像していたのと落下パターンが違って面白かった。ただ上がって落ちる、というのではなく、ちょっとずつストーリーを入れながら、あおりつつ最高点に到達するという演出もディズニーっぽくて、雰囲気づくりがうまいなと思った。
あと、怖い演出が始まった途端に同乗していた若者たちが悲鳴をあげたりして、“あえて自分から恐怖を楽しみにいく”姿勢で楽しむアトラクションなのか、とその楽しみ方も面白かったりした。
想像以上に楽しかった。そして長年の願いが叶って、ちょっと心の澱がとれた気もした。

さて、今回は僕のワガママにつきあってもらうので、一緒に行ってくれる人たちに粗相があってはいけないと、この日に備えて事前にきちんと「分刻み」の計画を立てて行った。
ディズニーリゾートだけではなくテーマパークに行くのに、ルート計画をたてたことは今までないのだが、これがなかなか楽しい作業だった。
ポケット版 東京ディズニーランド&シー 裏技ガイド」という本を参考にしたのだけれど、この本には混雑状況ごとのアトラクション予想待ち時間だけでなく、取る時間によって、そのファストパスが何時台のものになるかという予想まで載っていて、とても役にたった。
今回、今までで一番ディズニーリゾートを満喫できたと思うが、それはこの本のおかげといっても過言ではない(実際のルートはかなりアレンジしたけれど、この本なしではベースができなかった)。

当日の朝、乗る予定をしていた「センター・オブ・ジ・アース」が休止になっていることを知り、入園して最初の行程がそのFPを取りに行くはずだったので、いきなりつまづいた形になったものの、行動の軸ができていたので、わりと簡単に修正ができた(かわりに「ニモ&フレンズ」に乗ったが、これに出てきたラッコが可愛くて思わずグッズを買ってしまったほど)。ディズニーシーといえども、計画って大事だ(恋人と行くときはあまり細かすぎると、かえってダメかもしれないけれど)。
あとメンバーのチームワーク。予定変更、順番違いが色々あったのだけれど、きちんと合わせてくれる友人たちでありがたかった。「誰と行くか」というのも楽しむためには大事な要素だ(というか、それが全てかもしれない)。

13年ぶりにディズニーシーに行って強く思ったのは、ここではこどもから大人まで、みんな楽しそうな顔をしていて、それから普段よりちょっと親切な感じもするということ。気持ちが明るくなるとひとにも優しくなれるということなのかもしれない。
そうさせる理由のひとつは、園内全体が、お客さんを楽しませようと、ありとあらゆるところまで気が利いているというところだと思う。園内にいる間、少なくとも僕は、普段悩んでいることがすっかり頭から抜けていた。
まさに浮世を忘れる別天地だ。

かといって帰る時には、東京ミッドタウンで感じたような「帰りたくない感」は不思議となかった。だけど、他のどこへでかけた時よりも「明日から頑張ろう」という気持ちを強く持った。
そう思わせられた秘密はまだ僕にはわからないが、東京ディズニーリゾートが多くの人に支持される理由はそこにあるのだろう。

そして一夜明けた今日。
仕事をしながら「どうして楽しいことだけで生きていけないのか。」そんな哲学的なことまで考えたりした。
恐るべしディズニーリゾート。でも楽しかった。サンキュー。