分岐する未来。『ターミネーター:新起動/ジェニシス』

『ターミネーター:新起動/ジェニシス』を観た。

『ターミネーター』シリーズは『2』をリアルタイムで劇場で観て、『1』はだいぶ後でテレビで観た(地上波の吹替版の奴)。
『2』は本当に面白いし、観た人は誰もがダイソンさんの真似をしたと思うけど(ウソ)、『1』のあらすじぐらいしか知らない僕がいきなり観ても話についていけたし、気にならないほど独立した作品になっていた。

この『ジェニシス』は、その後の『3』と『4』をなかったことにして、一応ちゃんとした『2』の続編として作られたようだ。
初代も『2』も、もう古典といってもいい映画だから、内容を知らない人のほうが少ないだろうけど、この映画は僕が観た時の『2』と違って、ちゃんと前作を観ていないと楽しめない(あらすじだけだと不十分)。
というのも、ほとんどこの映画『ターミネーター』のセルフパロディなのだ。

『2』の強敵T-1000が『1』の時間軸に出てきたり、ターミネーターが先回りしていたり、とにかく元を知らないと、どこをどう崩しているのかが全くわからないので、ただのSFアクションとしか見れない。
物語中盤から、意外な展開をみせるし、意外な敵が現れたりするのも、元を知らないと楽しめない。
で「元を知っていると面白いか」というと、やっぱりパロディとしか思えないのが惜しい。多分「正統派の続編」というよりも「いかに観客の予想を裏切るか」ということに重点をおいてつくられたのだろうと思う。
『3』はアリか、と言われると微妙だが、あれは一応「続編」として成り立っている。『ジェニシス』はそれと比べると「こんな未来もあったかも」というパラレルワールド的な扱いにとどまるのだ。
なので、続編としては期待はずれだし、新作としてはいちげんさんお断り、という消化不良な映画になってしまっている。

それでも、さすがに『ターミネーター』で、それなりには観れる。
『2』を観て面白かった人には、ファンメイド的なノリで「これもまあアリか」という感じで観るぶんには良い作品。