C級ワイン探訪記『Colina Roja(赤)』

そんなわけで帰ってきた「C級ワイン探訪記」。

実は最終回の『チュカロ カベルネ・ソーヴィニヨン』を書いた後も、懲りずに500円以下ワインとマックのマリアージュは続けていたのだが、「これ」というワインに当たらないこともあって、再開のタイミングを失っていたのだ。
だが、ついにその封印を解く機会がやってきたのだ(大袈裟)。

そのワインはふと帰りに立ち寄った西友で売っていた。
Colina Roja(コリーナ ロジャ)というスペインのワインなのだが、その値段を見て驚く。なんと298円!あの超低価格のチュカロをしのぐ安さなのだ。しかもチリや南アフリカのような新世界じゃなくて、三大産地のひとつスペイン産ですよ!旧世界ものですよ!(まあEPAのおかげらしい)
とはいえ、公式サイトらしいものもなく、ぶどうの品種もわからない謎ワインなのがやや不安だが、スペインのデイリーワインという言葉だけを信じて飲んでみる。

で、グラスに開けてまず思うことは、色が薄いこと。赤ワインなのにロゼっぽい色。
飲んでみるとほとんど甘みはない。口に含んだ時に一瞬甘みがあるのだが、すぐに消えて苦味だけが残る。
エグみが一切なく、すごい飲みやすいところは良い。いわゆる“混ぜものアルコール感”(このワード流行らせたい)も感じない。というか、全体的に味が薄め。
アルコール11%と、普通のワインよりややアルコール度が弱い分「薄めてんじゃない?」という率直な感想が頭に浮かぶ。
ミディアムボディらしいけど、そうとは思えないぐらい軽い。

さて、マリアージュ。
お決まりのようにマクドナルドと合わせてます(そういう企画です)。

まずはマックフライポテト。これとは全く干渉し合わない。
“合わない”わけではなく“無反応”といったところ。
ワインの薄さと、ポテトの塩味だけからか、ポテト単独で食べたときとワインだけを飲んだときと全く変わらず。

それからチキンマックナゲット。
ポテトは無反応だったのに対して、ナゲットの場合はソースなしで食べ合わせても、そこそこ合う。ナゲットの味もワインの味もちょっとだけ濃く感じられた。
じゃあ、マスタードソースを付けたナゲットならもっと合うはず!と思って期待したものの、残念ながらそうでもなかった。ちょっぴりワインの味はかわるもののほぼ無反応。
マスタードの甘味と酸味では、このワインの味を活かせないのかもしれない(それを証明するようにマスタードソースのポテトもあまり効果なし)。

野菜ものが欲しかったので、マックで買ったものの以外にもレタスサラダ(ピエトロドレッシング)とも一緒に合わせてみた。
これはなかなか良い組み合わせ。ワインを口に含むと、ワインの味に奥行き(これは果実味の奥行きだと思う)がプラスされて美味しく感じる。単独で飲むと薄味なのに、合わせるとワインの味を濃く感じるのだ。

マスタードとはダメだったけれど、じゃあケチャップをつけたポテトと一緒に食べたら、どうなんだろうと合わせたら、これがすごく合う!
ベストマッチとまでは言わないが、ワインの味がさらに濃く感じられる。というかケチャップの甘みを引き出してくれる上に、ワインの甘みをケチャップが引き出してくれる。

ここまでで、このワインがケチャップの甘味、ピエトロソース(和風)の甘味と相性がいいということがわかった。それでは醤油の甘味とはどうだろうか。

そんなわけで、今回のメインディッシュはいつものチーズバーガーやビッグマックではなく、「サムライマック 炙り醤油風ダブル肉厚ビーフ」。
ワインとの相性もさることながら、サムライマック自体も初めて食べるので超楽しみだったのだ。

で、このサムライマック。超美味かった。
「美味しんぼ」で、海原雄山が「肉はわさび醤油で食べるのが一番美味い」と言うエピソードがあったけれど(それで、山岡にカツオのたたきにマヨネーズつける食べ方されて逆ギレしてたけど)、醤油と肉って本当に合うよね(とくにビーフと醤油は完璧だよねー)。
このサムライマック、マックのメニューっぽくない気はする。ボリュームがすごいあるのは良いが、なにせ490円って、かなり良いお値段する(マクドナルドで、と考えるとね。ワインより高いじゃんっていう)。買った時、合計金額聞いて間違いじゃないかと思ったぐらい。
でも、少なくとも「炙り醤油風ダブル肉厚ビーフ」には、それ相応の価値はあるので一度お試しあれ(もうひとつは食べてない)。

あ、ワインの話だったはずが、ついついマック批評になってしまった。

さて、このサムライマックとワインの相性だが、率直に言うと変化なし(残念)。
ビーフとは合う、ただ醤油ソースとさほど合わない。決して悪くはないが魅力を最大限には引き出さない。このワインとしては、醤油ベースは失敗だったようだ。
でもケチャップソースのチーズバーガーとは合うはず。次回試してみたい。

で、今回の結論。

食べ物が美味しくなる以上に、ワイン自体が美味しくなるという初めての現象を体感した。そして飲み口、口当たりが良く、ワイン初心者や、気軽に飲みたいときには最適なワイン(しかも298円だからかなりオススメである)。
反面、単独のワインとしては物足りないのも事実。例えればビールにとっての発泡酒みたいな位置づけとしてのワインとしていいかもね(アルコール度それなりに高いので、ストロングゼロみたいな位置かも)。

良くも悪くも、ガブガブと水みたいに飲めてしまうので、飲み過ぎに注意しつつ楽しんでね。

DATA:
Colina Roja 赤
スペイン産ワイン
購入場所 西友
価格 298円(税抜)