『バーフバリ 王の凱旋』

インド映画『バーフバリ』の完結編

この映画は『1』と『2』で前後編になっているので、両方観てやっと納得、という感じ。
どちらかだけ観るとなると、『2』のほうが面白いと思うが、『1』で主人公(特に先代バーフバリ)の人となりが描かれているので、『2』だけだとキャラクターに感情移入しにくいだろう。
いずれにせよ、片方しか観ないと魅力は半分以下になる。
時系列としては『1』が「現代パートの“起承”→過去パートの“起承”→現代パートの“転”」、『2』は「過去パートの“承転結”→現代パートの“転結”」となっていて、なかなかややこしい。

『1』でもそうだったけれど、現代のバーフバリは生まれつき超人(特に戦闘能力の高さ)といった感じなのに対し、先代バーフバリは天賦の才のみならず、良君に育ったという過程が見えるので、主人公としては先代の方が魅力的。
息子である現代バーフバリと同じ役者だし、設定的に「生まれ変わり」っぽさもあるので、同一視して見ればいいのだろうけれど、そのあたりがやや乱暴かなーと思った。

乱暴なのは、話の展開もそうで、聡明なはずの人がわかりやすい計略にみるみると嵌っていくのが若干イライラしたし、退屈もした。
そこには親子関係や嫁姑関係などいろいろなものがあって、結局は誰しも人の業には抗えないという深いメッセージがあるのかもしれないが、ストーリーとしては単純な流れ。
ただ、これが古典や神話だと思えば、元来、古典や神話はわかりやすく単純な筋書きなのだから、細かいことは言いっこなしで単純に楽しんでください、ということなのだろう。

『1』でJRPGっぽいと感じた世界観は『2』だと、より「スーファミ時代のスクウェア」っぽい感じになって、そういうの好きだった人はより世界に浸れるだろう。
アクションも『2』はより派手、かつ人間離れしたものになって痛快。
特に弓矢のシーンはカッコ良すぎて笑える。バーフバリという伝説の超人の大活躍を楽しむ映画、としては確かに面白かった。

そんなわけで、漫画的な戦争伝記映画としてはハリウッドに負けてない。
というか、その独特の世界観は日本のほうがウケるのだと思う。
そういうジャンルに興味があれば、ぜひ『1』、『2』両方観てください。