『ラブ・アゲイン』

『ゲット スマート』を観て以来、大好きな俳優であるスティーヴ・カレルが主演のラブコメディ。

『ラ・ラ・ランド』コンビの(っていう言い方は失礼だが)、ライアン・ゴズリングとエマ・ストーンが出ていて、二人共演映画の特集のひとつとしてケーブルテレビで放送したのを観た。

話自体は、離婚の危機を迎えた夫婦を中心とした片思いというか、一方のベクトルが強い恋愛模様を描いたもの。
イケメンナンパ師のライアン・ゴズリングに、真面目一辺倒だったスティーヴ・カレルが弟子入りして男を磨くのだが、その描かれ方はサラッとしていて(でもマジックテープの財布がダサい扱いなのはアメリカも同じだとわかった)、メインは結局、それぞれの一途な思いだったりする。

エマ・ストーンは『ラ・ラ・ランド』のときよりまだ垢抜けてないが、この後立て続けに有名作に出る片鱗を見せつける。
単純にいえば可愛い。チャーミングという言葉はこの時のエマ・ストーンのためにあるんじゃないかと思うほど。
特にボーイフレンドにキレた後、ライアン・ゴズリングと会話するシーンはとても可愛い。惚れる。この二人のシーンはとても愛らしい。
この男二人のそれぞれの恋愛が並行して描かれていたかと思いきや、そこが交錯する意外な展開を見せ、最後まで楽しめる。

恋愛って客観的に見ると、すごくバカだなーと思うのだけれど、それが愛おしく感じるのも確かなのだ(原題の『Crazy,Stupid,Love』は、なるほどこの映画の内容を正しく伝えている)。

自分もこの映画のスティーヴ・カレルに負けず劣らず恋愛不器用ではあるけれど、人を好きになるって素敵だなーと思える作品。

『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』

雑誌の映画評で見て、劇場で観たいと思いつつ、行けなかった映画。

主人公は40代ぐらいの中年男で、犯罪組織の末端としてその日暮らしをしている。
主人公の日々の生活はタバコを片手にヨーグルト(多分ダノン。4つ小分けのパックになってるやつ)を食べながら(この姿がなぜかサマになっている)アダルトDVDを見るだけ、というところに、人生に何も目的がない様子が見てとれ、なんとも悲哀を感じさせる。

この男が、隣人の仕事仲間と一緒に仕事(といってもチンピラ的な汚れ仕事)をしていたら、ハプニングが起こり仲間が目の前で殺され、自分も死んだはずが手に入れていた力のおかげで生き残ってしまう。その罪悪感からか、殺された仲間の娘を失敗した仕事の依頼人たちから助けることになる。この娘は精神が壊れて「鋼鉄ジーグ」の世界に逃避してしまっているのだが、そんな彼女を匿いながら、この依頼人たちと戦うことになる。

スーパーパワーを手に入れるのが放射性物質を全身に浴びたから、と、その前提はよくあるものなのに、マーベルコミックやDCコミックのような話ではない。ただ、現実にスーパーパワーを手に入れた人が本当にいたとしたら、こういうふうになるんじゃないかというリアリティがある。なにせ、パワーに気づいた後に大金を手に入れた主人公がやったことは、ヨーグルトを大量買いしてDVDを大型プロジェクターでみることなのだ。質的変化ではなく量的変化しかできないところにもまたリアリティを感じる。

この主人公が初めはヒロインに巻き込まれつつ(というかその色っぽさにのめり込みつつ)、やがて彼女のことを本当に愛おしく思うようになり、彼女の求める「鋼鉄ジーグ」になろうとする過程の描き方が良い。引き込まれる。
この子がすごい美人じゃないんだけどエロ可愛くて、どちらかと言えばブス可愛い。「子」とか書いてるけど、20代前半ぐらいの設定だと思う(でも演じてる人調べたらこの時すでに30歳だった。女優!)。

生きる意味もなく、ただ漫然と人生を送っていた男が、彼女と出会い(そして愛し)生きる意味を見つけた後の展開は、胸熱で感動的だし応援したくなる。

また、敵役(これまたマフィアの大ボスではなく、その世界では認められていない小物なのが悲哀を感じさせる)がとにかくクズすぎて、心底イライラする。憎まれっ子世に憚るの文字通り、いつまでもしつこいところもいい。この配置がとてもおもしろい。

そして伏線をきちんと回収する良い脚本も隙がない。僕はイタリア映画をそんなに見ていないので、これがイタリア映画っぽい、とかはわからない。でも、ヨーロッパ映画らしいジメッとした空気が漂うし、サンタンジェロ城のそばを疾走する映像は美しい。人生を考えさせられる映画。とても好きなタイプの映画だった。

エンドロールが終わった後も、彼は人々の平和のために戦い続けるのだろう。

『アントマン&ワスプ』

『アントマン&ワスプ』を観た。

前作『アントマン』は主役に華がないと思っていたのと(失礼)、虫が苦手ということでしばらくスルーしていて、初めてアントマンの活躍を見たのは『シビル・ウォー』だった。その後、マーベル・シネマティック・ユニバースの作品で観てないものを埋めていこうと思ってレンタルで観たら、僕好みでとても面白かったので、続編は映画館で観ると決めていたのだ。

で、今回はすごい期待して行ったせいか、面白かったけど前作ほどのインパクトはなかった。僕が一番物足りなかったのは、アントマン自身がそんなに強くないというところ。だから戦いでいまいち見せ場がなく消化不良。
ただ、主人公の“機転が利く”という長所を活かして、仲間の天才科学者親子(というか今回は母親も加わったファミリー)を差し置き、頭脳プレイで敵を翻弄するあたりは痛快。
『マイティ・ソー バトルロイヤル』や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズみたいなドタバタ喜劇ではなく、正統派のコメディなところは前作同様で好みの映画だったのは確か。セリフや間のやりとりで笑わせてくれる。

あと、主人公と娘との関係がとても微笑ましい。それを了承する元妻とその現夫との関係も素敵だ。この映画を観ると娘が欲しくなる(その前にやるべきことが最低3つはあるけど)。

主演のポール・ラッドは、ぱっと見はただのおっさんだが、ちゃんと決めるべきところでは決められるし、応援したくなるキャラを作りあげている。華がない、と思ったのは、役柄が「普通のおっさん」を求められているからなんだろうな。この人の別の映画を観てみたい。

敵方もどこか憎めないし、変わった奴らが意外にも活躍するところも良い。危機的状況でもユーモアが感じられて安心して最後まで楽しく観れた。マーベル・シネマティック・ユニバースを知らなくても、前作のあらすじぐらい知っておけば単発の娯楽映画として楽しめるから、アクションコメディが好きな人にはオススメ。

その分、シリアス全開の『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』につながるポストタイトルシークエンスでは、そのシリアス渦にアントマンも巻き込まれる展開が描かれるが、アントマンが『アベンジャーズ』続編でどう関わってくるのかはより楽しみではある。
世界の危機を前にしてもユーモアを忘れないキャラを通せるとしたらそれは痛快かも。そういう点で、マーベル・シネマティック・ユニバースファンにとっても次回の登場が楽しみになった映画だった。

プレミアムウェンズデー

普段定休日の水曜なのに用事があって出勤。

そのかわり、と言っては何だが早上がり設定にした。
16時半には退社して気分は一人プレミアムウェンズデーだ。

まず、亀裂が入ってしまった革靴を新調しようと思って靴売り場に行ったら、当然平日の夕方のためお客さんがほとんどおらず、客一人に対して店員5名くらいの体制になりそうだったので退散。買う気はあった、という以上に買わなきゃいけない状況だけれど、四方から店員さんに囲まれるプレッシャーには耐えられそうになかった。
仕事用のカバンもボロボロのため、カバン売り場にも行ったら同じような感じだったのでこれまた退散。

それで途端にやることはなくなったのだけれど、せっかく早く終わったのに、そのまま帰るのもつまらない。
そこで、駅ナカのリフレクソロジーの店が、新規者半額フェアをやっていたのを思い出した。
なにをあかそう、僕はちょっとしたリフレクソロジー通で(ただマッサージの中で一番好きなだけ)、ちょうど足が疲れていたし、最近はきちんとした施術を受けてないことに気づいて、飛び込みで行ってみた。

ただの足マッサージじゃん、と思う人もいるだろうが、これにも上手い下手があって、今日の人はベストではないけれどなかなか上手かった(上から目線)。
最近マッサージの店も増えてきたせいか、お客さんを逃さないように、今日次の予約をしたら特典つき、とか、今日だけ次回から30%オフ、みたいな営業をかけられた。綺麗な若い女性に(しかも施術はなかなかな←上から目線)そう言われると、よーし予約してっちゃうぞー、と言いだしてしまうくらいはおっさんではあるが、色々なリラクゼーションサロンを試してみたいという気持ちがあるので、とりあえず今日はそのまま帰る。

でも、店からでて20メートルぐらい歩いたところで引き返そうかと思ったぐらい衝撃受けた。
だって、それまでピッタリ、いやむしろキツイと思っていた革靴が超緩くなっているんだもの!
どれだけむくみとれたんだよ!っていうか、今日の人、どれだけマジックハンドなんだよ!

いや、でも戻らなかったけど(恥ずかしいから)。
しかしながら、俄然また行ってみようという気にはなった。

で、帰ってきてから録画しておいた『ドラゴンブレイド』を観る。
ジャッキー・チェンとジョン・キューザックが共演。悪役がエイドリアン・ブロディ。
最近のジャッキー映画の中では一番面白かった。甘さが少ないし、人が死にすぎる体はあるが、ストーリーもアクションも良かった。ひ弱そうなエイドリアン・ブロディが最強、というのがなんだかシュール。だがそれもまた良い。けっこう熱いし、世界平和を謳った映画でもある。良かった。

結論として、早く帰れば夜の時間はそれなりに有意義に使える。ちゃんとプレミアムフライデーが定着すれば、なかなかの経済効果があったのではないかと思ったりもする。月1回は少なすぎるけどね。
マイプレミアムデーを勝手に作っていく方向でいこう(どこまで許されるかは不明)。

凡作

綾瀬はるかつながりで『本能寺ホテル』を観た。

これははっきりいってシナリオ、というかストーリーが凡庸すぎる。
結局、これは綾瀬はるか演じる主人公の「自分探し話」なのだけれど、これは別に本能寺の変や信長を出さなくても成立した話だし、わざわざタイムスリップしてまで本能寺の変を関わらせる必要性がない。

キャストが魅力的で、カメオ出演の人たちまで豪華、ただそれだけが売りの映画。フジテレビの映画オリジナル脚本ってこういうの多いかも(といっても頭に浮かぶのは『スペーストラベラーズ』だけだが)。

途中、全く無意味な舞台っぽい演出が一瞬でてきて、後で何かの伏線なのかと思ったら、本当に独立した一発芸みたいな演出だったのも謎。
同じ予算、同じキャストで別の映画撮ったほうが絶対に良かっただろう。まあ、そういう謎作が出てくるのが映画業界なんだろう。

万城目学が脚本を書くつもりで2年かけたのにボツになった、というのがこの映画だとしたら(というかもうほぼこれで決まりだが)、本能寺の変と京都舞台で、何か作らなければいけない流れがあったのかもしれない。
でも結局、万城目学はこの映画に関わらなくて大成功だったと思う。実際、万城目感ゼロだったし、面白くないというのがなんともね。
予告編と、この万城目学騒動がこの映画の一番の盛り上がりだったのかもしれない。

綾瀬はるかは可愛い。可愛いが、使われ方が「天然ボケキャラ」に固定されてて、でもそこも突き抜けてないので、ささいな勘違いが大騒動に発展していくような「ズレ」を笑いにしたコメディに出るのを見たいなーと思う(そういうのすでに出てますかね)。
長澤まさみと共演したら絶対観に行く(最近見たドラマに影響されすぎ)。

イーサン・ハントとシロノワール

今日は臨時の休みだったので、『ミッション・インポッシブル フォールアウト』を観てきた。

エンターテイメントの王道みたいな映画で、とても面白かった。これはスパイモノというよりはヒーローモノだなあと思う。イーサン・ハントというヒーローの活躍を楽しむ映画。
隠密行動するつもり全くないんじゃないかというぐらい痕跡を残しすぎるし、作戦はだいたい不慮の事故があってプランBになるし(プランBはないが)、最終的には出たとこ勝負で全て勝つという展開。
実は最初からすべて先読みして計画してました、という伏線回収のカタルシスはないけれど、荒唐無稽な冒険譚として見れば大満足。最後のほう、緊迫したシーンなのに笑ってしまった(褒め言葉)。

ストーリーは前作からのつながりが深かったようなので、前作見とけばもっと楽しめたんだろうな。充分面白かったけど、これから観にいくなら『ローグ・ネイション』は観ておいたほうが人間関係が良くわかるはず。
で、前作にもでた(らしい)レベッカ・ファーガソンが素敵だった(『グレイテストショーマン』のときはそんなに素敵に思わなかった。役柄で違う人に思えるのは良い女優なんだろう)。
あとトム・クルーズが怪我したというシーンは「ああ、ここだ、ここだ」と思って観てしまって、僕はこの映画の主人公を常にトム・クルーズだと思って観てしまっているのだと気づく。イーサン・ハント=トム・クルーズ。その見方が正しいのかどうか(多分この映画に関しては正しいんだろう)。

で、帰りにコメダ珈琲に寄って、生まれてはじめてシロノワールなるものを食べた(コメダ自体も2回目)。
もっとパンっぽいのかと思ったら、デニッシュな感じで美味しくいただいた。ソフトクリームとデニッシュとメープルシロップ。おいしいものを3つ合わせたら美味しいに決まっている、という気もする。完全なジャンクフードだけれど、アメリカではこういうジャンクフードは生まれないだろうなーと思ったりもする。日本的発想。足し算の美学。
ブラックコーヒーも美味しかった。

でも、まあトム・クルーズ。スタントもできる限り自分でやったようだけど、それ以前に56歳であんなに走ってるだけでもすごいよ。

シロノワール食ってる場合じゃねえ!と反省せざるをえない。
僕は僕でとりあえずダイエットミッションがインポッシブルにならないよう頑張ろう(上手いこと言ったつもり)。

笑えばいいと思う

休肝日をつくるようにしている。

今週は暑かったり、友人と半年ぶりに飲み会をしたし、とかでずっと飲む日ばかりだったので、今日は飲まずにいる。
アルコールには強いほうだと思うけど、飲むとかったるくなるから、飲んだあとにブログを書こうと思うからなかなか進まないのだ。とか思っていたけど、シラフでも進まないときは進まない。酒のせいにしてはいけない。

「出演:ジェイソン・ステイサム」となっていたので、『SPY/スパイ』という映画をJCOMで録画して観た。そうしたら、ステイサムは脇役でしかもコメディリリーフ。主役はメリッサ・マッカーシーという女優(僕は知らなかったけど有名な人なんですね)だった。ジュード・ロウも出てた。
すごいくだらないけど、面白かった。スパイコメディ(というよりはパロディ)映画としてよくできていた。グロ多め。
ちなみにスパイコメディ映画として傑作なのは『ゲット スマート』なので、スパイ映画好きでコメディ好きはぜひ観ていただきたい。

それと『探偵が早すぎる』の3話目もみた。
1話目で感じたテンポの悪さが嘘のように良くなり、小気味のいい笑えるコメディになっている。滝藤賢一、広瀬アリスの他、役者たちがコントになるかならないかのギリギリのラインで演じているのが良い。2話目から演出がよくなった。続きが楽しみなドラマ。

なんか笑いに飢えているのだろうかね。でも明日も笑っていきましょう。

『恋はデ・ジャブ』

ビル・マーレイの名前をブログでちょいちょい出しているのに、その中でとても面白かった(僕好みだった)『恋はデ・ジャブ』のことをブログに書いていなかったので書いておく。

ビル・マーレイの映画は、なんだかんだでハッピーエンドなので安心してみていられるのもそうだけど、つまりビル・マーレイという役者の職人芸みたいなもの(淡々とした とぼけた ダメ男が改心して報われる)をみるようなもので、この映画はまさにその通りの映画だ。

主人公のテレビキャスター フィルは取材先に行った田舎町で突然、同じ一日がループする現象に巻き込まれてしまう。
なぜ田舎町に閉じ込められるのか、毎日同じ日をループするようになるのか、その原因みたいなものは一切ない。その理不尽さはあるけれど、ループすることを逆手にとって、好みの女性に、名前や出生のことを聞いておいて昔馴染みを装ったり、目当ての女性を攻略していく様は、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のようで、あの映画はこの演出法を真似てるのではとも思った。

自分は他の人のことを理解してきているのに、周りは翌日(次の同日)には、ダメ男のままの彼として接する寂しさ。思い出が自分だけのものである寂しさがせつない。バチがあたるようなことをしたり、誰かに呪いをかけられたりといった原因もないので抜け出し方もわからない。いつまで続くかわからない中で、彼は前向きに生きようとする。
それは僕らの日々にもつながる。

同じような日々が続く中で、何かをかえようと努力する。それも、ひとの役にたとう、周りを喜ばせることをしようということに結局は落ち着くのではないか。

結局「ひとりは寂しい」のだ。

ひとりはつまんない。のだ。

フィルは自分勝手で、人付き合いが嫌いな人間として描かれる。今まではそれでよかったのだろうが、ループを繰り返すことで、ひととの関わりが自分を幸せにしてくれることに気づく。そしてフィルが自分のためではなく、ひとのために行動しようと気づき、それを実践したときに、救いがくるのだ。

単純なコメディとしてみても楽しいが、人生の、そして周りのひとの大切さを感じさせる可愛い作品。
ただのオヤジのようでなんとなく憎めないビル・マーレイにふさわしい。

いったん戻っての『ジュラシック・パーク』

ついに『ジュラシック・パーク』を観た。

恐竜にもディザスタームービーにも興味のない僕だが、『ジュラシック・ワールド』を観たからには、基本の第1作は観ておきたいと思ったからだ。

なんて書き出してみましたが。
『ジュラシック・パーク』って、さほどディザスタームービーじゃなかったんですね。パーク開演前だから、被害者数としては『〜ワールド』のほうがはるかに多い。それから「ワッ!」っと驚かせるようなシーンも少なかった。
なので、自分が20年間、この映画に対して思い描いていたものは全て間違いだったんだなーと思う。思い込みって怖い。

で、『ジュラシック・ワールド』を観てから『ジュラシック・パーク』を観ると、オマージュというか、ちゃんと『〜ワールド』2作が『〜パーク』をなぞっているのがわかって面白い。
それは恐竜とのかくれんぼの動きとか、狭いところに隠れた子供に恐竜が迫るシーンとか、恐竜同士のとっくみあいとか。
ラプトルが1作目から重要な役目をしていて、それもシリーズ通じてのものなのかと知って、『〜ワールド』はオマージュだらけだなと思う。

当然20年前の映画だから、オーディオアニマトロニクスがしょぼく思えたりするが、CGはハイレベルだし恐竜の“存在感”は『〜ワールド』にもひけをとらない。さらに言えば、『〜ワールド』が若干B級映画っぽいのに、『〜パーク』はちゃんとメジャー映画の雰囲気がある。
その理由のひとつは、『〜ワールド』のほうがノリが軽いからだろう。『〜パーク』は皮肉担当がマルコム博士だけで、全体的には真面目に進む。
『〜ワールド』は、主人公を含めて危機的状況でも冗談をふかすキャラが多く、また恐竜が人間を襲うシーンでもひどすぎて笑えてしまうブラックなものが多かった。
娯楽作としてどっちが好きか、って言われたら僕は『〜ワールド』を選んでしまう。現代っ子なのかもしれない。

と、どうしてもパークとワールドを比較しながら観てしまうので、素直に『ジュラシック・パーク』単体で楽しむ見方はできなかったが、それでもこの映画の凄さはよくわかった。
『ロスト・ワールド』と『Ⅲ』も勢いで観ておこうと思っている。

パーク観ずにワールド語る

『ジュラシック・ワールド/炎の王国』観た。IMAX3D。

なにせ前作を前日に観ていたから、キャラクターの個性から人間関係から、恐竜の特性まではっきりと覚えている状態で続編を観れたということで、3年前にリアルタイムで前作を観た人よりもこの映画を楽しめたに違いない。

『ジュラシック・パーク』を全く観てないので、想像するに『ジュラシック・パーク』はディザスタームービーであって「予想だにしないところから恐竜に情け容赦ない襲われ方をして阿鼻叫喚」という映画だと信じている(違ったらごめんなさい)。単純に言えば同じスピルバーグの『ジョーズ』恐竜版。
だけれど『ジュラシック・ワールド』は、恐竜テーマパークを舞台にしたSFアクションで、人間の欲やエゴを描いた21世紀のハリウッド映画らしい作品。

そんな中、この『炎の王国』は『ワールド』の正統な続編といった印象がある。
恐竜というよりも人間のエゴによる遺伝子操作によって生を得た生物たちが、人間の危機となった存在になった今どう扱うか、という倫理的なテーマを持った映画だ。それでもエンターテイメント映画らしく、恐竜はカッコいいし可愛いし怖いし、展開もコミックっぽい。
そして、2018年のハリウッド映画らしく、完全なる娯楽作品ではなく、前作以上に遺伝子操作の是非、環境問題、死の商人の問題など現代社会への批判を含めていたりして若干骨太な内容。その分、いろいろなメッセージを詰め込みすぎて、ちょっとインテリ映画っぽくなっている感じがする。単純に親子連れやカップルでキャーキャー言える映画ではない。それを期待していくと、違う映画を観せられたという感想になるだろう(古くは『アルマゲドン』、最近だと『ベイマックス』みたいな)。

それでも、ちゃんと面白かったのは、CGやキャラクターだけでなく、設定や世界観を丁寧につくりこんでいるからで、“チャチさ”を感じさせないということは、映画において大事な要素なのだとつくづく思った。

そういうわけで「夏休み納涼映画」としての役割はほぼないが、前作を観て面白かったなら、きっと楽しめるし、考えさせられる映画。
逆に、観に行く人は前作は必見。それ次第でこの映画の面白さは半減する。
そういう意味でも正統派な2作目であることは間違いない。