しばらく前に、この原稿の骨子は書いていたし、正直言うと、なんどもこのワインは飲んでいる。
愛飲しているだけに、レビューをして、他のワインと比べるという行為に客観性をもたせられるのか。
また客観性をもたせた結果、このワインの魅力が「勘違い」だったのではないか、と悩んだりした(大袈裟)。
もう一点、これをもって連載(というかブログネタ)をひとつ失ってしまう、ということが、なんだかんだで寂しかったりするのだ。
とはいえ、始まったものは終わらせなければいけない。すべてがそういうわけではないけれど、同じ形で物事をずっと続けていくというのは難しいことなのだ。
話がズレた。
そんなわけで、C級ワイン探訪記の最終回は、満を持して「チュカロ カベルネ・ソーヴィニヨン」である。
このワイン、甘みはあまりない。ほのかな甘みはあるが、辛口といっていい。
個性としては、その濃さ。C級ワインの中でもこの濃さはそうそうない(カルロロッシのダークは匹敵するかも)。
そしてこのワインが優等生だと思うのは、適度な酸味があるのと、果実味がしっかりしてること。そして、例の「薬品のアルコールっぽさ」がほとんどないことだ。
いわゆる「ハウスワイン」っぽさがない。それよりも上等な味わいがする。395円でこの味に出会ったときはびっくりしたものだ(そしてこの連載に至る)。
さて、マリアージュの話。
あいかわらず“我らが”マクドナルドのメニューと合わせてみた。
普通のポテトとはそうでもないが、ケチャップをつけたポテトと良く合う。ワインに甘みが少ない分、ケチャップの甘みを引き出してくれる感じ。
また、同様にチキンナゲットのマスタードソースも、その中の甘味をひきたててくれるので良い。
ちなみにマスタードをつけたポテトはまあまあ(やや残念)。まあいかに「チュカロ カベルネ」とはいえ万能ではないのだ。
そして、チーズバーガーと合わせてみるが、これもバッチリ。
同じ「チュカロ」のメルローが、ポテトやナゲットには合うのに、チーズバーガーと合わなかったのに対し、カベルネ・ソーヴィニヨンはチーズバーガーにもちゃんと合う。
結論 「マックと合わせるとき最高のワイン」。
そして、それは、この連載における結論でもある。
つまりこの連載は「マックと合わせるのに一番いいワインなーんだ?」の答えを探す旅だったのだと思う。
もちろん、もっと良いワインであれば、マックだろうが、ビーフストロガノフだろうが、車海老のテルミドールだろうが(高級そうなメニュー言ってみただけだがレパートリーが貧弱だな)、きっと美味しくいただけるのだろう。
だけれど、マクドナルドという“キング・オブ・ジャンクフード”(褒め言葉)に高級ワインを合わせるなんて、贅沢がすぎるというか、趣味が悪いと思うのだ。
そういう意味で、価格的にもマクドナルドに釣り合い、しかもお互いの味わいを引き出せる最良の関係を探すことが、この「C級ワイン探訪記」の目的だったのだ、と今、改めて感じている。
実を言えば「カルロ・ロッシ ダーク」も気に入っていて、僕は最近この2本を交互に常飲しているのだが、価格のより安い、そして何より“キング・オブ・ジャンクワイン”として、僕のオススメは「チュカロ カベルネ・ソーヴィニヨン」としておいて、この連載は終了となる。
いままでご愛読ありがとうございました。
次は「C級ワイン探訪記 白ワイン編」(チーズバーガーの代わりにフィレオフィッシュを合わせる)でお会いしましょう!
DATA:
チュカロ カベルネ・ソーヴィニヨン
チリ産ワイン
購入場所 西友
価格 395円(税抜)