いつもお世話になっているヴァイオリニストの伊東佑樹さんが出るというので「テノールまみれのニューイヤーコンサート」に行ってきた。
昨年好評につき、今回はvol.2ということで、舞台にあがるのが歌い手も演奏家も全て男性という趣向。逆に観客は女性が多いのか、とも思ったが男女比としては他のクラシックコンサートと変わらない感じで、出演者達の客層の広さに期待が高まる。
ハーモニーは色々な音域があってこそ映える部分が大きいのて、「テノールのみ」という制約の中で、どれだけのことができるのかを考えるのはさぞかし難題だったと思うが、正統派のアリア独唱から、コスプレ合戦やモノマネという変化球まで、とにかくやれるだけのことやって観客を楽しませようという、その意気やよし。
主にクラシックを主戦場とする出演者たちのようだが、会場が一体となるグルーヴを作り出して、こちらも参加している気分が高まった。
同じテノールでも、それぞれ個性が違うというのも強く感じられたのも面白い発見だった。
隠岐速人さんは、リーダー格で愉快なMCとクラシック、ポピュラーともバランスのとれた歌唱力を発揮して、器用な人だな、という印象。
吉田連さんは、二期会期待のホープだけのことはあり、安定感と今後の伸びしろを感じさせた。
持木悠さんは、ポピュラー心を持ち、ミュージカルの舞台で活躍しているのが納得。
澤崎一了さんは、テノールとは思えない体格の良さだが、それをうまく活かした迫力の歌唱(アンコールで見せた、ロングトーンからの失神ボケは実力がないとできない)。
高柳圭さんは、歌詞の言葉が明瞭で聴きやすく、曲の途中から気持ちがどんどん乗っていくタイプに見えた。アリアだけでなく、オペラでの芝居が見たいと思った。
伴奏を務めた演奏家たちも、伴奏では歌手を載せる正確で歌いやすい演奏を、インストでのメインを張るときは、大胆で魅せる演奏をしていてプロの技を実感。伊東さんのソロを聴くのは久しぶりで2回目だったが、カッコ良かった。
男くささをマイルドにするためか、みんながそういうキャラクターなのか笑いを入れるシーンが多く、全体的に「コメディ要素」の強いコンサートだったが、新年の雰囲気にはもってこいの内容で、楽しい2時間だった。
来年の開催もすでに決まっているそうで、2019年1月4日の夜に行われるとのこと。お屠蘇気分で聴いたらより楽しめるように思えるので、テノールの声と愉快なステージが観たい方にオススメです。