全編PCの画面で展開する映画と話題の『search/サーチ』を観に行った。
前評判の高さ通り、最近見た映画の中では一番面白かった。その一番の理由はシンプルな筋書きでわかりやすいからという部分だろう。
父娘のすれ違いが起きた流れをスッキリ説明して、娘が失踪する頃には、すでに感情移入ができるようになっている。
それから良質のミステリーとして定石と言える「ヒントは全て画面の中にある」、そして「張った伏線をきちんと回収する」ということができているからだ。この映画はそれをミステリーの謎解きだけではなく、きちんと父娘関係のもどかしさにまで伏線を張っていて素晴らしい。
事件の謎を解くと同時に、知らなかった娘の謎にまで迫っていく中で、自分の娘を信じたい思いと、疑惑の増す状況証拠を突きつけられる父親の葛藤が上手く描かれている。演じるジョン・チョーも熱演。
全編PC(スマホも含む)の画面で進行する、という試みが目立つし、もちろんそういうトリガーがなければ、僕はこの映画に惹かれなかった。もっと言えばありきたりのミステリー映画で話題にもならなかったろうけど、思いついたアイディア一本勝負ではなくて、どうやったら画面の中で、そして溢れる情報(特に視覚情報)の中に、どうやったら観客に見てほしいものをちゃんと見てもらえるのかが良く考えられている。
Windowsの起動音や、iPhoneの着信音が流れたりするPCあるあるの部分でニヤリとし、リアルとネットでの人間の立ち居振る舞いの違いに呆れ(アメリカでも同じなんだね)、味付けとして面白い。
でもそれ以上に、メールを送るのか、文面をどうするのか、はたまた電話をかけるのか、しばらく放っておくのか、そういう選択するときの悩みや逡巡が視覚的にわかって共感を生む。PCを前にした人間なら誰でも思い当たるだろう、その間の使い方が絶妙だった。
ところで、主人公を含めて、この映画の登場人物たちは本当にPCを活用している。もしこれが本当のガジェット活用なのだとしたら、自分が使っている機能なんて、まるでペアレンタルコントロールされている状態のようなもんだ。
先日iPhone XSを手に入れたというのに、その能力の3%も引き出せてないんだろうな。反省しきり。
さて、この映画、結末がわかるまでハラハラしたけれど、最後の最後までお見事な構成だった。拍手したいぐらいの思い。
もう一度見直して、見落としていた情報をしっかり探してみたい。