昔の名前が出ています

神宮寺三郎をご存知だろうか。

知っているという人は昔からのゲームファンだと思う。

登場したのはファミコンのディスクシステムで発売されたアドベンチャーゲーム「新宿中央公園殺人事件」だ。当時は「ポートピア連続殺人事件」が流行った後だったので、似たようなコマンド選択式のアドベンチャーゲームが数多く出ていた。
ファミコンは子どもやるもの、という前提でフォロワーがでたせいか「さんまの名探偵」や「消えたプリンセス」、「プロ野球?殺人事件」のようなコメディチックなものが多かった中で(「ポートピア〜」はパソコンからの移植だった)、ひときわハードボイルドな雰囲気を持った探偵ゲームだった。

僕もこの「新宿中央公園殺人事件」はディスク書き換えで購入してプレイしたのだけれど、クリアすることはできなかった(でも音楽は覚えている)。神宮寺三郎は時々「たばこすう」というコマンドでタバコを吸って推理して、物語を進めるのだが、その必然性を思いつけなかった当時の僕に大きな敗因があったようにも思う。
行き詰まったらタバコ吸おう、という感覚がなかったのだ。

今もシリーズが続く人気のキャラではあるが、その神宮寺三郎、今度の作品では、大学生時代が描かれるらしいのだけど、そういうのいる?求めてる人いる?そういう「古畑中学生」みたいな話いる?

神宮寺三郎がそこまでのキャラじゃない、というつもりはない。また、1本のゲームの中にオムニバスな話が入っていて、過去のエピソードがある、ならわかるんだけど、単独で出すのはどうなんだろう。
それだったら他の探偵キャラ作ればいいのに、と思う。

というのは、アドベンチャーゲームってクリアするのに時間がかかるし、もっといえばクリアしないと達成感がものすごく低いジャンルなのだ。
全てのゲームがクリアされるわけではない。でもアクションやシューティングなら、その過程というかプレイすること自体が面白ければ、クリアできなくても「面白かった」という印象は残る。それとロールプレイングゲームでも、戦闘が面白かったとか、途中のあのエピソードが面白かった、という思い出が残る。

でも、テキストアドベンチャーって(オムニバス形式でない限り)、「面白かった」より「クリアできなかった」っていう印象しか残らない気がするのだ。

クリアできなければ、その名探偵ぶりの印象は残らない。
神宮寺三郎はゲーム業界での知名度は高いけれど、実際にどんな事件をどういうふうに推理して解いたか、「名探偵」としての彼を知っている人はものすごく限定されているだろう。
その神宮寺三郎の“若き日の”登場を求めているのは、本当にコアなファンだけだと思う。

製作者の神宮寺三郎愛はわかる。わかるし、新しいキャラを作るよりも、少しでも親しみのあるキャラを登場させて売上をあげたい思いもわかる。ゲームはやってもらって(買ってもらって)ナンボだからね(立ち読みもレンタルもないし)。

でも、せっかく新しいアドベンチャーゲームを作るなら、「今ある名前」に頼るよりも、新しい名探偵を誕生させてほしいという気持ちがあるのだ。
多分それは僕が神宮寺三郎ファンではないからだろう(好きだけどね、神宮寺三郎)。

と、ここまで書いてきて、ネットで調べてみたら(最近こういうの多いな)、「神宮寺三郎シリーズ」は携帯アプリでいくつかの作品が配信されていたそうだ。

だから僕が思うよりも「名探偵」として幅広く知られているのかもしれない。

こうやって書いた以上は、若き神宮寺三郎が登場する「ダイダロス:ジ・アウェイクニング・オブ・ゴールデンジャズ」、やってみようかな(もうタイトルからして僕が知ってる神宮寺三郎が出る奴じゃないよな)。

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