C級ワイン探訪記『王様の涙 赤(辛口)』

C級ワインの旅も、前回からまたずいぶんと期間が空いてしまった。

日に日に多くなるアルコールの量に焦り、お酒との付き合い方を見つめ合っていたので……というわけでは全然なく(いや、やや気にしてはいるが)、なんとなくワインを飲む気がしなかったのと、マクドナルドを食べる機会を失っていたからだ。
それと、なんだかんだでこの企画をやる時は、飲む前の体調もさることながら、念のため翌日に酒が残っても大丈夫、という状況を作ってからにしているので、なかなかタイミングが合わなかった。

で、そんなとき、自宅近くにできたウェルシアに初めて行ってみたら「王様の涙」なる、惹かれる(「エモい!」)名前のワインがあって、これがまたC級ど真ん中な価格で、ぜひレビューしてみたくなったので、満を持しての今回なのである。

スペイン産で500円以下というのがまず驚き。
前にとりあげた『Colina Roja』もスペイン産で298円(!)ワインではあったから、だんだんとこういうヨーロッパ産の安価ワインが輸入されるようになってきたのだろうか。
となると、このブログ企画のニーズが高まりそうだな。体調にだけは気をつけよう(謎の使命感)。

さて、まずはそのままで飲んでみる。一口目を飲んで、すぐ「美味しい」と思う。ちゃんとぶどうの味がするのだ。
それに渋みと甘みのバランスがよい。どちらも強く、わかりやすい味をしているが、甘みのほうが若干強い感じ。いずれにしても濃い目の味という印象。
濃さからいえば、『カルロ・ロッシ ダーク』に近い。ただ、C級ワインにありがちの「やや後づけアルコール感」はある。

さて、マリアージュに進む。
なんの臆面もなく合わせるのはマクドナルドですが、そういうコーナーですのであしからず。

まずは恒例のマックフライポテト。
とくに味の変化はない、と思いきや、ポテトを食べた後、ワインの味が少し強くなる。甘みがおさえられて渋みが前に出てくる感じ。インパクトが強くなるのだ。

続いてケチャップをつけたポテトと合わせると、これが合う!
渋みが強くなったノーマルポテトとは逆に、ワインの甘みが強くなり飲みやすい。というか“わかりやすい”味になった。

じゃあトマト系と合うのかなと思って、マック以外に今回は「クレアおばさんのミネストローネ」も食べていたのだが、これはとくに変化がみられず。
ケチャップほどの甘みがないとダメなのかもしれない。

続いてチキンマックナゲット。
ワインとの相性以前に、ナゲット自体がとても美味しかった、ということを書いておきたい。先月ぐらいにナゲットが30%オフとかになってた時に食べたら(あ、食べてんじゃん、マック)ラード分が強くていまいち(というか身体に悪そう)な味になった感があったが、今日は以前の、つまりいつものナゲットに戻っていた。
いつものナゲットはとても美味しいということを再確認した。

で、ワインとの相性についてだが、ナゲットの美味しさが際立って、あんまりワインの印象がない(ナゲット中毒かよ)。合わなくはないが「合う!」と手放しで言えるほどではない。
ナゲットは美味い(3回目)。

それからマスタードソースをつけたナゲットと合わせてみると、ワインの甘みが消える。そのためキリッとした味わいを求めるにはいいが、このワインが当初持っている甘みと渋みのバランスは崩れる。
それでもスッキリした感じになるのでそういうのが好みの人にはいいかも(僕はわりと好き)。

その後、マスタードソースをつけたポテトを試しに食べてみたら、これが一番合うかもと思った。
ワインの甘みがすごく目立つようになり、自分の好みの味になった。同じソースでもナゲットとポテトだと大きく味が変わるのは不思議。

さて、最後はチーズバーガー。本日のメインディッシュである(しょぼい)。
残念ながら、これは合わなくはないが、ぴったんこというわけでもない。特筆すべきことはなく“ザ・普通”。
まあ、ここまで食べたら普通にハンバーガーを味わえよ、というメッセージかもしれない(多分違う)。

さて結論。

普通に飲むには十分というか、チュカロ、カルロ・ロッシに次ぐポテンシャルで、またひとつ常時飲みたいワインが増えた。
ただ、その僕的ベスト3(偉そう)の中では一番“人工アルコール感”は強い。翌日悪酔いしなかったので、これはあくまでも舌の感覚の話だけどね。日常使いにオススメワインのひとつ。
王様の名は伊達じゃない!(ドヤ顔)

DATA:
王様の涙 赤(辛口)
購入場所 ウェルシア
価格 475円(税抜)

C級ワイン探訪記『マクギガン ザ・プラン シラーズ』

数日前からケンタッキーフライドチキン(KFC)が食べたくてしょうがなかった。

いや、数週間前から、と言ったほうが正しい。
でも先週はセールをやっていたせいか、いつ店を覗いても混んでいて、なんとなく待って食べるのは嫌だったので、我慢していたのだ。

で、今回仕事帰りに立ち寄ってみたら幸運にも空いていたので、買って帰ることに。
それに加えて、今は“バカみたいな”(褒め言葉)チキンフィレサンドである「デラックスフィレサンド」を売っていて、唐突にこれを食べてみたかったというのもある。

ビールでフライドチキン、というのが鉄板だなーと思いつつも、ワインが飲みたい気分だったし、マクドナルドではないがKFCもザ・ファーストフード。
それなら、ついでにブログネタにもしてしまえ!と急遽思いつきで、新たなワインを飲むことになったのだ。

選んだワインは『マクギガン ザ・プラン シラーズ』。オーストラリアのワインである。
並んで「ピノ・ノワール」が売っていて、最初はそれに手を出したのだければ、オーストラリアと言えばシラーズかな、と思い直したのだ。

僕のバイブルである『ワイン一年生』によると、シラーズはアメリカワインに似て、BBQのようなこどもおいしい料理に合うという。
それならば「ぼくの考えた最強のチキンサンド」を具現化したようなデラックスチキンフィレサンドと合うんじゃないかなーという直感もあったのだ。

さて、オーストラリアワインを飲むのは久しぶりだ。
グラスに注いでみると、色が薄い。一口飲むと、色からくる印象に近いスッキリした飲みやすさを感じる。とはいえ薄口なわけではなく、色味からくる印象よりも味わいは濃い。

特筆すべきは酸味の強さ。舌に絡みつくぐらいの酸味がある。あんまり飲んだことのない感覚で、これは好き嫌いがわかれるかも。
甘みはほとんどない。逆にキリッとした果汁をそのまま飲んだような味わいで、これはこれで美味しいと思った。
シラーズの特徴はスパイシーというが、まさにそのとおりな味わい。ちなみに人工アルコール感はほとんどなかった(これは良い点)。

さて、普段と違ってKFCとのマリアージュ。

まずはポテト。ケンタのポテトはやや太めで食べごたえがあって美味い。マクドナルドのポテトよりもジャガイモ感は強い。

で、この素のポテトと合わせてみたら、とりわけ美味しくなったわけではないのだけれど、ワインの味がさらに濃くなった気がする。単純なイモと塩の味がワインそのものの味を引き出すのかも。
ケチャップをつけたポテトと合わせると、今度はワインにやや甘みを感じるようになる。これまた、それが美味いには直結しないが、飲みやすくはなった。
ワイン単独だと、飲めば飲むほど後味がズッシリと、エグみが強くなるが、ケチャップの甘みで中和される気がする。

さて、メインディッシュのオリジナルチキン(部位はリブだった)。
とにかくケンタッキーはこのオリジナルチキンが美味いよね。大好き。
他の店では出せない味というのがまた特別だよね。
と、KFC上げコメントになってしまったが、ちゃんとワインとのマリアージュをしてみよう(そういうブログだぜ)。

さて、チキンと合わせたワイン。
これが美味い!ワインの味が落ち着くのだ。
弱かった甘みが引き出され、酸味が抑えられ、ほとんど感じなかった苦味がちょっとでてきて、バランスの良い味に変化したのだ。
このワインは単独で飲むのと、マリアージュするのとで印象が大きく変わる。こんなに変わるのは初めてかもしれない。

さて、今一度書くが、シラーズは“こどもおいしい”ワインという。
では、無茶しやがって、という感じで作られたデラックスチキンフィレサンドとは果たして合うや否や?!

他のサンドのように紙で包まれているのではなく、箱の中に鎮座ましましてるデラックスチキンフィレサンド。キングオブキング感(≒中二病感)強い。
このサンドは具材としてハッシュポテトが挟まっているのだが、僕は基本バーガーにポテトを入れるのには反対派。あまりに邪道だと思う。
でも、なぜ食べてみたかったかというと、あまりのバカさ加減に、じゃあこのビッグウェーブに乗っておこうかと思ったのだ(疲れてたのかもしれないね)。

で、食べてみて、まず思ったのは……

馬鹿にしてごめんなさい。これ美味しいです。

まず、スパイシーコブソースが美味い!それから邪道と思っていたハッシュポテトのサクサク食感と、辛口のソースを中和するポテトの甘みがむしろ必要。
これ本当にウマい!

じゃあ肝心の、このワインに合うのか?というと、すごく合う!!

フライドチキンで感じたワインの落ち着きっぷりが1段階上がる感じ。
ソースの辛さがワインの特徴的な酸味を弱め、とはいえ、それを消すまでには至らず、一番バランスのとれた味に変化させる。
マクドナルドには、この系統の味のメニューがないから、ケンタッキーと合わせたのは正解だった(ただコブソースはBBQソースにも通じる甘みがあるので、マックなら期間限定の「スモーキーバーベキュー」と合うかもね)。

さて、このワインの結論。
ここまで単独飲みとマリアージュでの印象が違うのは珍しいかも。

単独で飲むにはやや物足りないが、確かにこどもおいしい、つまり単純な甘味、辛味がはっきりした食べ物と飲むと、ワイン自体の味のバランスが良くなる。
合わせるもの次第でぐんと美味しくなるワイン。ベースは酸味が強いので、やっぱり甘みの強いものと合うのかな。

一応補足しておくと、498円で買ったのは割引期間だったようなので、実際はC級よりちょい上かもしれない。
で、チュカロのカベルネや、カルロロッシのダークを凌ぐわけでもない。
ただマリアージュでの味の変化を楽しんだり、極端なスパイシーさを求めるといった変化球としてアリのワインだと思う。
それとKFCと合うことだけは間違いない。

DATA:
マクギガン ザ・プラン シラーズ
購入場所 サミット
価格 498円(税抜)

C級ワイン探訪記『Colina Roja(赤)』

そんなわけで帰ってきた「C級ワイン探訪記」。

実は最終回の『チュカロ カベルネ・ソーヴィニヨン』を書いた後も、懲りずに500円以下ワインとマックのマリアージュは続けていたのだが、「これ」というワインに当たらないこともあって、再開のタイミングを失っていたのだ。
だが、ついにその封印を解く機会がやってきたのだ(大袈裟)。

そのワインはふと帰りに立ち寄った西友で売っていた。
Colina Roja(コリーナ ロジャ)というスペインのワインなのだが、その値段を見て驚く。なんと298円!あの超低価格のチュカロをしのぐ安さなのだ。しかもチリや南アフリカのような新世界じゃなくて、三大産地のひとつスペイン産ですよ!旧世界ものですよ!(まあEPAのおかげらしい)
とはいえ、公式サイトらしいものもなく、ぶどうの品種もわからない謎ワインなのがやや不安だが、スペインのデイリーワインという言葉だけを信じて飲んでみる。

で、グラスに開けてまず思うことは、色が薄いこと。赤ワインなのにロゼっぽい色。
飲んでみるとほとんど甘みはない。口に含んだ時に一瞬甘みがあるのだが、すぐに消えて苦味だけが残る。
エグみが一切なく、すごい飲みやすいところは良い。いわゆる“混ぜものアルコール感”(このワード流行らせたい)も感じない。というか、全体的に味が薄め。
アルコール11%と、普通のワインよりややアルコール度が弱い分「薄めてんじゃない?」という率直な感想が頭に浮かぶ。
ミディアムボディらしいけど、そうとは思えないぐらい軽い。

さて、マリアージュ。
お決まりのようにマクドナルドと合わせてます(そういう企画です)。

まずはマックフライポテト。これとは全く干渉し合わない。
“合わない”わけではなく“無反応”といったところ。
ワインの薄さと、ポテトの塩味だけからか、ポテト単独で食べたときとワインだけを飲んだときと全く変わらず。

それからチキンマックナゲット。
ポテトは無反応だったのに対して、ナゲットの場合はソースなしで食べ合わせても、そこそこ合う。ナゲットの味もワインの味もちょっとだけ濃く感じられた。
じゃあ、マスタードソースを付けたナゲットならもっと合うはず!と思って期待したものの、残念ながらそうでもなかった。ちょっぴりワインの味はかわるもののほぼ無反応。
マスタードの甘味と酸味では、このワインの味を活かせないのかもしれない(それを証明するようにマスタードソースのポテトもあまり効果なし)。

野菜ものが欲しかったので、マックで買ったものの以外にもレタスサラダ(ピエトロドレッシング)とも一緒に合わせてみた。
これはなかなか良い組み合わせ。ワインを口に含むと、ワインの味に奥行き(これは果実味の奥行きだと思う)がプラスされて美味しく感じる。単独で飲むと薄味なのに、合わせるとワインの味を濃く感じるのだ。

マスタードとはダメだったけれど、じゃあケチャップをつけたポテトと一緒に食べたら、どうなんだろうと合わせたら、これがすごく合う!
ベストマッチとまでは言わないが、ワインの味がさらに濃く感じられる。というかケチャップの甘みを引き出してくれる上に、ワインの甘みをケチャップが引き出してくれる。

ここまでで、このワインがケチャップの甘味、ピエトロソース(和風)の甘味と相性がいいということがわかった。それでは醤油の甘味とはどうだろうか。

そんなわけで、今回のメインディッシュはいつものチーズバーガーやビッグマックではなく、「サムライマック 炙り醤油風ダブル肉厚ビーフ」。
ワインとの相性もさることながら、サムライマック自体も初めて食べるので超楽しみだったのだ。

で、このサムライマック。超美味かった。
「美味しんぼ」で、海原雄山が「肉はわさび醤油で食べるのが一番美味い」と言うエピソードがあったけれど(それで、山岡にカツオのたたきにマヨネーズつける食べ方されて逆ギレしてたけど)、醤油と肉って本当に合うよね(とくにビーフと醤油は完璧だよねー)。
このサムライマック、マックのメニューっぽくない気はする。ボリュームがすごいあるのは良いが、なにせ490円って、かなり良いお値段する(マクドナルドで、と考えるとね。ワインより高いじゃんっていう)。買った時、合計金額聞いて間違いじゃないかと思ったぐらい。
でも、少なくとも「炙り醤油風ダブル肉厚ビーフ」には、それ相応の価値はあるので一度お試しあれ(もうひとつは食べてない)。

あ、ワインの話だったはずが、ついついマック批評になってしまった。

さて、このサムライマックとワインの相性だが、率直に言うと変化なし(残念)。
ビーフとは合う、ただ醤油ソースとさほど合わない。決して悪くはないが魅力を最大限には引き出さない。このワインとしては、醤油ベースは失敗だったようだ。
でもケチャップソースのチーズバーガーとは合うはず。次回試してみたい。

で、今回の結論。

食べ物が美味しくなる以上に、ワイン自体が美味しくなるという初めての現象を体感した。そして飲み口、口当たりが良く、ワイン初心者や、気軽に飲みたいときには最適なワイン(しかも298円だからかなりオススメである)。
反面、単独のワインとしては物足りないのも事実。例えればビールにとっての発泡酒みたいな位置づけとしてのワインとしていいかもね(アルコール度それなりに高いので、ストロングゼロみたいな位置かも)。

良くも悪くも、ガブガブと水みたいに飲めてしまうので、飲み過ぎに注意しつつ楽しんでね。

DATA:
Colina Roja 赤
スペイン産ワイン
購入場所 西友
価格 298円(税抜)

C級ワイン探訪記『チュカロ カベルネ・ソーヴィニヨン』

しばらく前に、この原稿の骨子は書いていたし、正直言うと、なんどもこのワインは飲んでいる。

愛飲しているだけに、レビューをして、他のワインと比べるという行為に客観性をもたせられるのか。
また客観性をもたせた結果、このワインの魅力が「勘違い」だったのではないか、と悩んだりした(大袈裟)。

もう一点、これをもって連載(というかブログネタ)をひとつ失ってしまう、ということが、なんだかんだで寂しかったりするのだ。
とはいえ、始まったものは終わらせなければいけない。すべてがそういうわけではないけれど、同じ形で物事をずっと続けていくというのは難しいことなのだ。

話がズレた。

そんなわけで、C級ワイン探訪記の最終回は、満を持して「チュカロ カベルネ・ソーヴィニヨン」である。

このワイン、甘みはあまりない。ほのかな甘みはあるが、辛口といっていい。
個性としては、その濃さ。C級ワインの中でもこの濃さはそうそうない(カルロロッシのダークは匹敵するかも)。
そしてこのワインが優等生だと思うのは、適度な酸味があるのと、果実味がしっかりしてること。そして、例の「薬品のアルコールっぽさ」がほとんどないことだ。
いわゆる「ハウスワイン」っぽさがない。それよりも上等な味わいがする。395円でこの味に出会ったときはびっくりしたものだ(そしてこの連載に至る)。

さて、マリアージュの話。
あいかわらず“我らが”マクドナルドのメニューと合わせてみた。
普通のポテトとはそうでもないが、ケチャップをつけたポテトと良く合う。ワインに甘みが少ない分、ケチャップの甘みを引き出してくれる感じ。
また、同様にチキンナゲットのマスタードソースも、その中の甘味をひきたててくれるので良い。
ちなみにマスタードをつけたポテトはまあまあ(やや残念)。まあいかに「チュカロ カベルネ」とはいえ万能ではないのだ。
そして、チーズバーガーと合わせてみるが、これもバッチリ。
同じ「チュカロ」のメルローが、ポテトやナゲットには合うのに、チーズバーガーと合わなかったのに対し、カベルネ・ソーヴィニヨンはチーズバーガーにもちゃんと合う。

結論 「マックと合わせるとき最高のワイン」。

そして、それは、この連載における結論でもある。
つまりこの連載は「マックと合わせるのに一番いいワインなーんだ?」の答えを探す旅だったのだと思う。

もちろん、もっと良いワインであれば、マックだろうが、ビーフストロガノフだろうが、車海老のテルミドールだろうが(高級そうなメニュー言ってみただけだがレパートリーが貧弱だな)、きっと美味しくいただけるのだろう。
だけれど、マクドナルドという“キング・オブ・ジャンクフード”(褒め言葉)に高級ワインを合わせるなんて、贅沢がすぎるというか、趣味が悪いと思うのだ。
そういう意味で、価格的にもマクドナルドに釣り合い、しかもお互いの味わいを引き出せる最良の関係を探すことが、この「C級ワイン探訪記」の目的だったのだ、と今、改めて感じている。

実を言えば「カルロ・ロッシ ダーク」も気に入っていて、僕は最近この2本を交互に常飲しているのだが、価格のより安い、そして何より“キング・オブ・ジャンクワイン”として、僕のオススメは「チュカロ カベルネ・ソーヴィニヨン」としておいて、この連載は終了となる。

いままでご愛読ありがとうございました。

次は「C級ワイン探訪記 白ワイン編」(チーズバーガーの代わりにフィレオフィッシュを合わせる)でお会いしましょう!

DATA:
チュカロ カベルネ・ソーヴィニヨン
チリ産ワイン
購入場所 西友
価格 395円(税抜)

C級ワイン探訪記『ラデラ ヴェルデ』

先日、日本酒の普及活動をしている方(美人)とお会いする機会があって、1本1500円ぐらいでも美味しい日本酒を教えていただいた(試飲してみたら確かに美味しかった)。
僕が日頃ワインばかり飲んでいるという話をしたら、「美味しいワインだと1本3000円ぐらいするから、日本酒のほうがお買い得ですよねー」とおっしゃっていた。
「そうですよねー」とにこやかに返す僕。

すみません、僕の飲んでるワイン、1本500円以下なんです。

なんて言えるわけがない。
それは「チープ」かつ「バカ舌」と言っている気がするから(気がするっていうか、半分事実だ)。
見栄張りました、すみません(誰にあやまってんだ)。

さて「次回が最終回」と書きましたが、買ってしまったワインがあるので、1回増やします。すみません(あやまってばっか)。
それがC級ワイン(500円以下のワイン)の中でも特に低価格な「ラデラ ヴェルデ」だ。税抜368円。

単独で飲んだ感想は、薄い。甘みなし。ミディアムボディだからか、すっきりはしている。
辛口でアルコール感が高いが、はっきりいって“個性”がない。その分確かに、「(安い)ワイン」だなーという感じ。
単独で飲んで個性がない分、逆にマリアージュすると美味しくなるのではと、この時点では期待が高まる。

でもねー。まあ税抜き368円のワインになに期待してんだって話ですよね(ぜいたくすぎるよね)。

まずポテト。これは全然ダメ。味変わらず。ケチャップつけても変わらない。
ナゲットも、そのままでもマスタードつけても、印象変わらず。
いや、美味しさが落ちるわけではない。ただ、合わせた時に「食事もワインも“より”美味しくなる」という現象は確かに起きるのだが、このワインだと、それが起きないというだけだ。
チーズバーガーは若干美味しくなった気がする。

結論としては、不味くはないが、美味しくもない(マックと合わせて何語ってんだと自分でも思わなくはないが。すみません)。

ただ、これが一般的なC級ワインのポテンシャルなんじゃないかと思う。
今までのが“意外と”美味しかったので、C級ワインに対する期待度が上がってしまっていたような気もする。
ラデラがこの価格分の価値がないか、と言われたらそんなことはなく、「まあこんなもんじゃない?」と許せてしまう。
ただ、他のC級ワインのほうが美味しいということだけだ。
最後の最後で、C級ワインのお手本のようなワインを引いてしまったという話。
それはそれでこの連載(なの?)にふさわしいのだろう(こじつけ)。

さて、次回は本当の本当に最後。
いよいよC級ワインの本丸「チュカロ カベルネ・ソーヴィニヨン」について書きます。

DATA:
ラデラ ヴェルデ レッド
チリ産ワイン
購入場所 西友
価格 368円(税抜)

C級ワイン探訪記『カルロ ロッシ ダーク』

「カルロ ロッシ」という名前からすると、イタリアワインっぽい感じもするが、カリフォルニアのブランドだそうだ。

このブランドは日本でも何年も前からデイリーワインの定番で、一時期よくCMを見かけた覚えがある。
以前に飲んだことがあるものの、とくに印象がなかったのだが、今回「ダーク」というものがあったので、購入してみたのだ。
購入前に気になったのは、瓶ではなくペットボトルなこと。そのあたりにチープさを感じるが、ペットボトルワインがどんなものか、ということの検証も含めて買ってみることにした。
ぶどう品種の記載はないが調べてみたら、ルビー・カベルネ、バルべネ、テンプラニーリョのブレンドのようだ。

また、「カルロ ロッシ」は前述の通り、ぶどうの産地はカリフォルニアなのだが、原産国名はオーストラリアというかわった経歴で日本に輸入されているのだ。
ルビー・カベルネはカベルネ・ソーヴィニヨンとカリニャンの交配種、バルベネはイタリア、テンプラニーリョはスペインの品種らしく、それもまたワールドワイドな感じがするが、カリフォルニアのぶどうをオーストラリアでワインにしているのだろうか(どういう経緯かまでは追いかけられなかった。ご存知の方、教えてください)。

さて、まず単独で飲んでみると、いままでのC級ワインと味わいがだいぶ違う。
一番は濃さの違い。他のワインに比べて格段に濃い印象で、口に含んだ途端にひろがるぶどう感が強い。いわゆる“まぜものアルコール感”が若干あるものの、濃さが勝つのでほとんど気にならない。甘みが強く、酸味少ない。単純に美味しい。
ただ、単独で飲み続けるとなると、味が強すぎる。それはフルボディだからだろうけれどね。ちょっとしたおつまみ(チーズとかおかき)とともにじっくり飲みたい。

さて、マリアージュだが、マックフライポテトそのままだとワインが勝つ(もうこの企画、マックとしか合わせてないな)。ケチャップつけたポテトでイーブン。ケチャップの甘みで、ワインの甘み(果実味)がひきたつのだ。
なんかマリアージュというよりはデュエルな感じもする。お互い「負けられない戦い」をしているような感じ。

チキンマックナゲットそのままだと相性はいまいち。マスタードのナゲットと一緒だと美味しい。
ここから推察するに、酸味と甘みのある味付けのものと合うはずだ。
ワインの甘みがひきたってワインがより進むし、飲んだ後、食べた食材のうまみを後追いで感じられる(ちなみに、マスタードソースをつけたポテトとはまあまあ)。

で、今回、マリアージュする目玉は、新発売の「グランドビッグマック」だったのだが、これがびっくりするぐらい“普通”だった。
グランドビッグマック自体も、まあ「大きくなったビッグマック」以上でも以下でもないのだけれど、一瞬「奇跡のマリアージュ」を期待してしまった自分がいたのだ。ハードルを上げすぎたのかもしれない。

さて、そうやって飲んでみた「カルロ ロッシ ダーク」だが、これには後日談がある。
このブログを書くために、記録しながら飲んだのが4月の半ば。
でも、そのあと、このワインの味が忘れられずに2本ほど買って飲んでいるのだ。実はこのブログを更新している今も飲んでいる。
つまり、このワインは僕にとって「お気に入りの1本」になったということだ。

で、いちおしC級ワイン「チュカロ カベルネ・ソーヴィニヨン」に勝っているのかどうか、ということだけれど、これは次回まで持ち越しとさせていただこう。
次回「チュカロ カベルネ・ソーヴィニヨン」について、他のC級ワイン同様のレビューで、比較してみることにする。
そして、それが「C級ワイン探訪記」シーズン1のラストレビューでもあるのだ。

次回、刮目して待て!(大袈裟)

DATA:
カルロ ロッシ ダーク
オーストラリア産ワイン
購入場所 サミット
価格 468円(税抜)

C級ワイン探訪記『コアライフ シラーズ/カベルネ』

安旨ワインの定番といえば、今やチリワインにお株を奪われた感があるが、少し前だったらオーストラリアワインだった気がする。
ちなみに最初にコルクではなくスクリューキャップを採用したのはオーストラリアとのこと(『ワイン一年生』より)。

さて、そんなオーストラリアのワイン。「イエローテイル」のように1000円以下のワインはけっこうあるものの、500円以下のC級となるとなかなか難しい。そんな中みつけたのが、コアラのラベルの「コアライフ」というワイン。

フランスのシラーというぶどうと同じ品種ながら名前が違うシラーズと、カベルネ・ソーヴィニヨンをブレンドしたもの。ミディアムボディなので重すぎず、飲みやすい。渋みはややあり。どことなく品がある味わいで甘みは少なく酸味が強い。
単体で飲むと、低価格ワインの定番みたいな、「ハウスワインの赤」と頼んだら、これがでてきそうな感じ。

「シラーズはシラーと比べると、スパイシーさ、土っぽさがエスカレートして、本当に野性的に育てられている感じがします」(『ワイン一年生』)というように、たしかに「土」っぽい。飲み口もこう、強い(ストロングな)印象。
僕にはちょっと甘みが足りない。果実味というかぶどう味が足りない気がする。

さてマリアージュ。
今回はマックではないのだ(このブログ読むとマックかケンタかしか食べない人と思われてるかもしれないが)。
合わせたのは、まず「砂肝スパイシー炒め(ガーリック風味)」。これはサミットで売っているお惣菜だが、単体で食べても美味い。
サミットの惣菜は“ちゃんとしている”率が高いのでオススメ。中でも、こういうちょっとしたおつまみは、他にも焼豚、レバー煮込みが美味いです。

話がそれた。マリアージュの話だ。

これは合った。ベストマッチではないが、系統が合う感じ。
単体ではほとんど感じない甘みが、砂肝スパイシーの塩辛さにひっぱられて、ワイン自体の甘みを引き出してくれる。
ここから考えると、このワインにはステーキとかガツンとした牛肉に合うはずだ(オージー産だから?)。
それからここ最近の定番おつまみポパイエッグと合わせると、ベーコンとの相性が一番合う。そこから考えるとやっぱり肉系と合うワインのようだ(今回こそマックと合わせるべきだったのかもしれない)。

さて、今回はボロネーゼを作って合わせてみた(レトルトのを温めただけだけどね)。
どんな赤ワインでもボロネーゼとは合うだろうと思っていたのだけれど、予想以上に合わなくて戸惑った。肉と合うはずのワインがトマトソースと合わない模様。これはちょっとした発見でもある(僕が浅はかなだけか)。

というわけで、マックと合わせれば評価が上がったかもしれないワインだけれど、僕の好みではなかった。
ただ、前述のように「ザ・ハウスワイン」的な味わいなので、そういうのが好きな人にはいいのかもしれません。

DATA:
コアライフ シラーズ/カベルネ
オーストラリア産ワイン
購入場所 サミット
価格 498円(税抜)

C級ワイン探訪記『チュカロ メルロー』

このシリーズは、「チュカロ」というブランドのカベルネ・ソーヴィニヨンが395円なのにやけに美味い。それを超える同価格帯のワインはあるのか、というところから始まっている。

今まで飲んできた中で、まだこのワインを超えるC級ワインは見つかっていないのだが(高尚なことを言っているようで実際はかなり侘しい発言)、では同じ「チュカロ」ブランドではどうなのか。
このブランドには他にメルローとカルメネールが出ているので(白だとシャルドネがある)、今回はメルローと飲み比べてみる。

飲んだ第一印象は“甘い”。
メルローといえば、エグみが強いイメージだが、飲み口はさらっとしている。なので「これメルローなの?」と思ってしまう、ちょっとかわった印象を持つ。それから少しの苦味。
それからC級ワインお決まりの“混ぜもの”っぽさというか、薬っぽさがある。
口に含むと甘みがぐっときて、次に酸味(薬っぽさ)を感じ、そのあと渋みに変わる。

さて、マリアージュ。今まで飲んだワインの中では、一番、そのままのマックフライポテトに合う。
それからナゲットでも、なにもつけないナゲットにも、マスタードソースのナゲットにも合う。
また、韓国土産でいただいた韓国のりも食べたのだが、これにも合った。

シンプルな味付けのものにも合うというのは、他になかなかない特徴。裏ラベルに「どんな料理にも合わせやすい」と書いてあるのは確かだ。なので、とりあえず1本おいておけば、何を食べるにも困らないワインかもしれない。
ただ、意外なことにチーズバーガーとはイマイチ合わない。ケチャップをつけたポテトには合うので、ケチャップ系に合わないわけではなく、肉系に合わないのかもしれない。

難点を言えば、単体で飲むには少し物足りない感じはする。
有能だけれど、特出した部分がないという点では、ガンダムでいえばザク。ドラクエでいえば、どうのつるぎといったところ。
カベルネ・ソーヴィニヨンには劣るけれど、チュカロブランドはやっぱりコストパフォーマンスが高いと感じるメルロー。

おそるべしチュカロ。
カルメネールも飲んでみよう。

DATA:
チュカロ メルロー
チリ産ワイン
購入場所 西友
価格 395円(税抜)

C級ワインレビュー『タヴェルネッロ ロッソ』

チリワインが続いたので、たまには旧世界のワインを。

ワインの本場、イタリア産のワイン。
イタリアワインにもC級ワイン(500円以下のワイン)が売っているのだ。

さて、このタヴェルネッロ。イタリアでの年間販売量がNo.1のブランドとのこと。ボトルにぶどう品種の記載がなくて焦ったが、調べたらサンジョベーゼだった。

サンジョベーゼは、イタリアワインとして有名な「キャンティ」でよく使われるそうで、「チェリーっぽさがしっかり、渋みはカベルネ・ソーヴィニヨンよりやさしく、酸味はピノ・ノワールよりやさしい、バランスの取れた味」(『ワイン一年生』)。ライトボディということもあって、軽い口当たりで今までのんだC級ワインの中でも最高に飲みやすい。
エグみがひとつもなく、品のよいぶどうジュースのような印象。ただ1杯目の半分くらい飲んでいくと、いわゆるC級ワインにありがちな若干のまぜものアルコール感はある(定番の表現)。
ただそれを差し引いてもとにかく飲みやすい。

マリアージュとしては、ほうれん草とベーコンの炒めたところに目玉焼きを落としたもの(昔「ポパイエッグ」という名称で居酒屋メニューであった。最近の僕の定番おつまみ)、フライドチキン(ケンタッキー)、カーネリングポテトそしてローストチキンサンドと一緒に飲んだのだが、これらの中にはピンとくるものがなかった。お互いに殺しもせず生かしもせずといった感じ。
濃いめの味のものと合わせるのが良かったのかもしれない。
余談だが、ケンタッキーのローストチキンサンドはものすごく期待していた分、思ってた味よりもさっぱりしていて残念。もうちょっとタレの味が濃いと良かった。
これまでC級ワインにはマックを合わせ続けてきたのだが(偶然です)、やはりこういう安いワインとマリアージュするならマック一択なのだろうか。
もしくはイタリア産の赤ワインだからトマト系を入れるのが良かったのかもしれない。研究は続く。

ただただ、まさに日々、デイリーに飲むには良いワイン。
好みで言えばやっぱりチュカロのほうが僕は好きだが、たとえばテレビを見ながら、本を読みながら、ゲームをしながら飲むのにはこちらのほうが合うようにも思う。

全然こまかいことはわからないけれど、ワイン大国イタリアでデイリーワインとして飲まれているという理由はわかった気がする。

 

DATA:
タヴェルネッロ ロッソ イタリア
イタリア産ワイン
購入場所 西友
価格 498円(税抜)

C級ワインレビュー『サンタ メルロ/カベルネ・ソーヴィニヨン』

前回に引き続きチリワイン。
ただ単独のぶどう品種を使用したものではなく、メルローとカベルネ・ソーヴィニヨンのブレンドもの。正式名称は「サンタ バイ サンタ カロリーナ メルロ/カベルネ・ソーヴィニヨン」(長い)。

チリのような「新世界」という地域(新興のワイン国だと思ってください)のワインは単一品種のものが多いが、ブレンドもあるのだ。チリワインのブレンドは飲んだことが(記憶の限りでは)なかったので、試しに購入してみた。
チリワインは日本での輸入量が第1位とのこと。だからこういうブレンドものも輸入されてくるんだと思う。

飲んだ第一印象はコショウのようなスパイシーさ。
甘さはほとんど感じない。酸味が少なくスッキリしているが、遠くのほうで、前回も書いたようにC級ワインにありがちな“混ぜものアルコール感”はする。
「チリのメルローは甘くないが酸味もほとんどない」と『ワイン一年生』にも書いてあったのでブレンドとはいえ、メルローの特徴が多く出ているのだろう。メルロー単一ワインよりも飲みやすい。

食事とのマリアージュ(改めて書くと、この言い方恥ずかしいな)としては、ポテト(おなじみマックフライポテト)と合う。しかもケチャップ付きのポテトに抜群に合う。
他にも、味の濃いめのものとあう結果に。ナゲットならそのままの味よりもマスタードソースをつけたほうが合うし、当然ながらチーズバーガーとも抜群に合う(前回と同じ物食べてるのはご愛嬌)。

前回のワインメーカーズチョイス(WMC)のメルローと同格で、チュカロのカベルネ・ソーヴィニヨンには負け、といった感想だが、WMCとの違いは食事時以外でも、ただの「飲み物」として飲みやすいという点。
とくに甘さがないところがグングン飲める(危険)。ジン系の甘みのないカクテルのような飲み口で、ラベルにも「ブラックチェリーやプラムのリキュールを思わせる」とラベルにも書いてあるように、ワインが苦手でも美味しく飲める気がする。

そんなわけで、食事時以外にも楽しめるし、単一品種のワインに飽きたころにローテーションに入れると良いワインかもしれない。

DATA:
サンタ バイ サンタ カロリーナ
メルロ/カベルネ・ソーヴィニヨン
チリ産ワイン
購入場所 サミット
価格 498円(税抜)