感化、商談、敬虔

あいかわらず起きてからダラダラしてしまう。

良くない習慣だと思っていてもなかなか抜け出せないんだよね(言い訳)。

どうしたわけか、YouTubeのリコメンドの中に、聞いたことのないような謎の起業家(パリピっぽい)の、「時間を無駄にしないための方法」みたいな動画があったので、歩きながら音声だけ聴いてみる。正直、感じの悪い喋り方だし、ぜったい仲良くなれそうにないけれど、言ってることは正しいんだよなーと思う。そういうことにうんうんとうなずいてしまうのは、自分が今、物事に対してあまり上手くいってないのかもしれないな(でも元気だよ)。

休みのはずが、どうしても会うタイミングが今日しかないということで、取引先の方に会うために職場に行く。予想以上に物腰柔らかく、話し上手な人だったのでお会いできてよかったなとは思った。
なにせ、やる気に満ち溢れてる若い人と会うと、こちらも元気になるよね。だから自分も元気で明るくを心がけよう。でも、その前に、自分もやる気に満ち溢れるような環境に身を置きたいよね(願望)。

それから、お世話になっている方が舞台に上がるというので、YMCAオラトリオ・ソサエティの定期演奏会を鑑賞するために紀尾井ホールへ。
レクイエム2曲という、個人的には重めの選曲ではあったが、いかにも宗教曲っぽいフォーレと、現代曲っぽさが出るラターの、同じモチーフでの違い、みたいなものも体験できて、良い演奏会だった。厳かな気持ちになりました(急に敬語)。お誘いいただかなければ、きっと足を運ばなかっただろうから、貴重な経験ができてありがたいし、なにごとも興味があったら行くべきだなーとも思った。

そしてここしばらくの疲れを癒やすために、もう晩酌して、今日はおひらきにするよ。時間の使い方、ホントに考えなきゃね(影響されやすい奴)。
明日には忘れるだろうけど。

暑い、寒いで体調管理が難しいが、なんとかフツーに頑張りましょうかね。

ゴールデンウィークだん

世間はGWの最終日だが、自分は至って普通に労働(言い方)。

ただちょっとだけ早上がりして、石神井インターナショナルオーケストラの定期演奏会に行った。
音楽監督の西谷国登さんをはじめ、手塚貴子さん他、友達だったりお世話になっている人がわんさか出演する演奏会なので、なにがなんでも聴きにいかねばならないし、義理とかでなくて、ずっと応援しているオケなので、毎年演奏を楽しみにしているのだ。

今回は、西谷さんがヴァイオリンソリストとしてオケと共演するし、手塚さんは指揮を振るしで、見どころ聞きどころ満載のステージだった。
今年で10周年を迎えるだけあって、演奏は安定感があるし、ちゃんと聴かせどころも抑えてある楽しい演奏だった。時間があっというまに経った。

ちゃんと目標をもって演奏している人たちはすごいな、と思う。さて、自分はどうしようかね。まあどうもしないんだけどね(しないのかよ)。
とにかく刺激になりました。日々、頑張らねば。

そんな感じでGW終わったよ。
連休だった人よりは“耐性”あるんだろうけど、それでも明日労働したくねえなー(言い方)。したくない労働ってなんなんでしょうかね(急に自己啓発本のイントロみたいなこと言ってみる)。まあ、それはそれで頑張りましょう(思考停止)。

今週、色々ピーク。でもそこさえ乗り切れば一息つける(はず)。
やれるだけのことやりましょう。

14386歩

お出かけダブルヘッダー。

まず午後に、芝公園近辺を散策するツアーに参加した。
大門からスタートして芝大神宮、芝東照宮、増上寺をまわって愛宕神社までのコース。普段一人では行かないところだし、行ったとしても歴史の知識がまるでないから、素通りしちゃいそうなのを、ガイドの方の案内で楽しく、教養深く巡れた。

一番面白かったのは徳川将軍家の墓地。そこで眠るその一人一人のエピソードを聞くと、なんとなく人柄に思いを馳せられて楽しい。結局、自分は“人物”に興味があるんだなーと気づく。事件自体よりも、そこで誰がどういう振る舞いをしたか、そういうところを知ることにワクワクする。ちょっと将軍家について、なにか本読もうと思う。
あと、昔ここにこんなのがあった、というのと、道と道が頭の中でつながるのも楽しい。東京、いろいろと歩いてみたいな。

愛宕神社でおみくじを引いたら「小吉」だったけれど、なんか「座して待て」みたいな奴で、わりと“強め”の小吉だったので、これからいいことたくさん起こると思う(希望的観測)。
ただ、出世の階段と言われる石段を、上りはエレベーターで回避したのに、下ってしまったので、ちょっとダメかもしんない。改めてお参りにいきますかね。

そして、その後、豊島園まで行って(自宅の位置を考えると「戻ってきて」)、お世話になっているテルミン奏者の濱田佳奈子さんが、アコーディオンの広沢純子さんとのユニット「アンテナ」として開催した「森の音楽会」という演奏会を鑑賞。
けやきの森の季楽堂という、古民家を改装したイベントスペースで、タイトルどおり森に包まれ、小鳥のさえずりも聞こえる場所での演奏会だった。
演奏は言わずもがな、演出がまたユニークで夕暮れの楽しい時間を過ごせた。

で、そんなこんなでよく歩いた日。
芝公園散策もそうだが、愛宕神社から赤羽橋駅まで20分ぐらい、豊島園駅から季楽堂まで10分ぐらい、そして帰りは練馬駅まで17分ぐらいも歩いて、iPhone的に歩数はタイトルの通り。
体感としてはこの倍は歩いた感じがする(マジ30000歩ぐらい歩いたでしょ?って思ってる)。その結果、足腰はもちろん、バッグをかけていた右肩も疲労がひどくて、(先日も書いたけど)自信のあった「歩くこと」にやや陰りがでてきてしまった。体重が増えたからかな。
痩せよう(いつもの奴)。

そして、人生やりたいことどんどんやらなきゃな、とも思った日。不完全でもいいから、とにかく前に進もう。動かないよりマシだろう。
そんな思いを持ちながらも今日はおひらき。おひらきにしても、やれることはやる。そう思えることが進歩(目標のハードルが低い)。

しかし現実問題としては、湯船に浸かって湿布貼って寝よう。

ロマンティック探し

昨日は、赤坂のクラシックライブカフェ「カーサクラシカ」で行われた、「tacacoの私的音楽会Vol.1 」に行ってきた。

友人でもあり、大変お世話になっているヴィオリストの手塚貴子さんが自身で企画した音楽会。
メインテーマを「Romanticをさがして」と題し、ロシアロマン派の作曲家の曲をヴィオラとピアノで演奏。
ロシア音楽のどことなくどんよりした感じが、中低音が魅力のヴィオラの音色と良くあって、彼の地に想いを馳せる。

戦時中である今のロシアとウクライナ出身の音楽家とのエピソードを交えて、音楽ができることを語る手塚さんの想いのこもった素晴らしい演奏だった。
特に、ラフマニノフのチェロ・ソナタ ト短調 作品19(ヴィオラ版)は、哀愁をおびた、でもどこかに楽観的な印象もあり、聴き応えがあった。

今回は演奏の合間の語り(楽曲の背景や歴史の説明)にも時間をかけていたのだけれど、言葉をひとつひとつ確かめながら解説する手塚さんから、音楽に対する誠実で真摯な姿勢が感じられてとても良かった。
近年「わかりやすいこと」がもてはやされる風潮があるが、そう簡単に「わかりやすいこと」ばかりではない。音楽だってもちろんのこと。
「わかりにくい」ことを「わかりにくい」と受け止めながら、手がかりを提示し、ひとつの解釈を演奏で示す。手塚さんのお人柄で柔らかく暖かな雰囲気を出しながら、音楽家の矜持としての哲学的な面も見えた素敵な演奏会だった。そして文字通り“Romanticをさがす”演奏会でもあった。次回も楽しみにしたい。

で、その後は一緒に鑑賞した方々とカラオケで飲んだのだが、ここで飲みすぎたというか、ペースを間違えたのか、今日は全然調子出なかった上に、うっかりミスでけっこうな失敗をしてしまって、周りに迷惑をかけてしまった。リカバリーはできる感じではあるが、このところ心身ともに調子が低めだったので、ここらで取り戻さないとね。

明日もお出かけだし、そのリカバリーのためにやらねばならないこともある。
でも、まあ取り戻せる以上は、めげずにいきましょう。

縁&縁

労働を半ドンにもならないぐらいにこなして、知り合いの方の舞台を観に行った。

仕事関係で知り合ったのだが、お人柄のとても素敵な方で、久しぶりに舞台に復帰されるという連絡をいただき、観に行った(なんの舞台かは諸般の事情で書かない)。
小規模なオペラの公演で、オケも編成が少ないのだけれど、途中でパンフレット見たらヴァイオリンが、なんと石オケでもお馴染みの伊東佑樹さんと書いてあって超焦った(この時点で、なんの公演かわかる方はわかっちゃうけどさ)。

ふらりと行った舞台で、知り合いに会う。しかもその楽器担当一人しかいないのに。これ確率としてはかなりレアなんじゃない?
……と思ったらやたら興奮してしまって、終演後に知り合いの方とも、伊東さんとも変なハイテンションで話してしまって、今すげえ落ち込んでいる(人見知りあるある)。

知り合いの方は異例の経歴とブランクゆえに、だいぶ緊張、恐縮されていたけれど、舞台上では、他の出演者に劣らぬ存在感だったし、伊東さんは仕事(=演奏)してる姿を見られるだけでも貴重だが、演奏も素敵だった。っていうか、求められることが多すぎるというのが素人の僕でもわかったが、それをこなした上で、歌いやすいだけでなく、ヴァイオリンとしても魅力のある音を出していた。
とにかく良いものを見たし、すげえ縁を感じた日だった。

で、帰ってきて、ちょっとだけカラオケして(10曲)、晩酌して今ここに至る。

明日のお昼締切のKAC2023のお題「筋トレ」はまだ1文字も書いていない。オチが全然思いつかないが、最初から書けるところまで書いてすすめるしかないかな。
花粉症と酔いで、頭がすっかりおやすみモードだが、ここで脱落はしたくないので、なんとか頑張ろう。

そんなわけでちょっと遠出したし疲れたけど、良い一日でした。
明日の労働、なんとか乗り切りましょう。

キャス納め、推し活納め、肉納め

ツイキャス「ザンクとルーペの読書感想文」日比野コレコ著『ビューティフルからビューティフルへ』編を配信した(アーカイブはYouTubeで)。

中野のカラオケまねきねこで、今年最後の配信でした。10人読んだら10人違う感想がでるような小説だったので、自分なりの感想を上手く伝えることが難しかった。ちゃんと話せただろうか。
「オススメ度」度外視で、ものすごい魅力のある作品ではある。

そして、アフタートークは「『すずめの戸締まり』話&2022年の総括とか2023年の抱負とか」と題して、本当に“ザ”雑談(=“ジ”アフタートーク)的な配信をした。

けっこうアレなワードが出た気がする。それでも最後は、本編の『ビューティフルからビューティフルへ』につながるような人生観みたいなものが出るミラクル(言い過ぎ)も出て、個人的には良かったんじゃないかと思っている。もう一度聴き直す勇気はないけれど(どっちなの?)。

ところで中野のまねきねこはドリンクバーにコーヒーがなかった。
ルーペさんがそう言ったので、んな馬鹿な、ルーペさんってば老眼入ってきたから(ディス)見落としてるだけだろう?と思ってバーに行ったら(略すな)、本当になかった。中野区民はコーヒーを飲まないのだろうか(主語がデカくなるタイプ)。

で、その後は中野サンプラザで行われた、「雨宮天のてくてく天ちゃん公開収録」の夜の部を観た。ファンの集い感は強かったが、これはこれで楽しかったよ(2曲生歌聴けたし)。僕は僕なりの「ファンの距離感」を持ってるよなーと今更ながら思ったりした。なんというか、推しが元気で良かった。

終演後にルーペさんと焼肉ライクで夕飯(&ちょっと晩酌)。満喫した。

そして早めに解散し、今に至る。
推しが推してた駄菓子の「ペペロンチーノ」が、中野サンプラザ近くのドンキで売り切れてたが(青き民さすが)、地元のサミットで見つけて買ってきたので、これをおつまみにしてちょっとだけビール飲んで寝る。

良い休日だった。
2022年もあと2日(と少し)。良い気分のまま新年を迎えられますように。

MiKn Project Op2-2 Piano Trio Concert

ヴァイオリニスト西谷国登さんとピアニスト石渡真知子さんに、チェリスト大木翔太さんをゲストに加えたMiKn Projectによるピアノトリオ演奏会に行ってきた。

2月のOps1-2の時と同じく、坂戸市にあるTTT森の響きホールでの演奏会。
曲目は昨日大泉ゆめりあホールで行われたOps2-1と同じだけれど、昨日は裏で(しかもモニター越しに)聴いただけだし、自分の出番もあって曲を楽しめる余裕はなかったので、今日の演奏を楽しみにしていた。そして、その期待を上回る楽しさだった。

最初に演奏されたのは、ドビュッシーのピアノ三重奏曲 ト長調。
演奏前に、石渡さんの曲説明があって、この曲は当時18歳だったドビュッシーがヴァカンス中に書いたものということだったが、まさに南仏の砂浜が思い浮かぶような曲だった。
第1楽章では、華やかで穏やかなビーチ沿いで、のんびりとした休日の雰囲気をもち、第2楽章は、弦楽器の細かい動きが、少しの不穏さと好奇心がざわつく感じをさせ、知らない街を散策しているようなドラマチックな楽曲。
第3楽章はチェロがメインを張るような出だしから、避暑地の町並みを上空から俯瞰で旅するような優雅な旋律が続く。

で、この楽章の三人の表情がとても良かった。自分の音を響かせつつ、他の演奏者それぞれの音を感じているのが伝わる。この楽章の最後の音を奏でた直後の写真が欲しいと思うぐらい、トリオの世界観がふんだんに出ていた。

そして第4楽章。「Appassionato」なだけに、迷宮に迷い込んだようなうねりを感じるダイナミックな出だしから、曲が様々変化して聞き飽きない。なんというかひとつの人生を描いているような壮大な楽章に感じた。何度も繰り返して聴きたくなるような演奏だった。

2曲目はメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲 第一番 ニ短調。
「メントリ」という愛称がつくほど人気のある曲ということ。

第1楽章は重厚で、これぞ「クラシック」という感じが強い。ピアノの速い動きがすごい。後半とくに盛り上がりにかけては圧倒された。個人的には、途中リタルダンド入った後の小節が好きだなーと思った。
第2楽章はシンプルな印象だが、それだけにちゃんと聴かせるように弾くのはとても難しいと思う。音の粒が揃わないとカッコよくならない。それがきちんとできるお三方が(どの楽器を弾けない僕でも)技術と感情の込め方のレベルが高いとわかる。
第3楽章は一転、軽やかな始まりから、速いスピードの中で、緩急をつけつつ、お互いのフレーズの出入りに気を使う場面が多く、これもまた合わせるのが難しい。
そして第4楽章ともなると、曲の理解度が高くないと、エンディングのところなど崩れてしまうのではないかと思うのだけれど、きちんと弾ききるのが見事。
楽器の弾けない僕がいうのもなんだが、良い演奏にするためには高い技術と、深い理解力が必要な曲なんだろうなと思った。
なんというか「ごまかしがきかない」楽曲なのだ。だからこそ愛称がつき、人気があるのかもしれない。

2曲とも違った良さがあって、1時間があっというまだった。
ドビュッシーのピアノ三重奏曲は、「この曲好き!」ってなって、ヘビロテしたくなったし、メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲は、僕がもう少しクラシックを理解してから聴き直したいと思った。
アンコールのハンガリー舞曲 第六番含め、良い時間を過ごさせてもらった。初心者から愛好家まで楽しめる素敵な演奏会だった。

そして、前回もふれたけれど、このTTT森の響きホールは、フラットで演奏者と客席が近い小さなコンサートホールだけれど、音が正面から発せられるのではなく天井を回って包み込まれるように聴こえて、曲の世界に入り込める。
このホールでいろいろな演奏を聴いてみたいなと思った。

生演奏、しかも素敵な演奏を素敵な場所で聴く贅沢を堪能した演奏会。
出演した皆様お疲れ様でした。次の機会も楽しみにしております。

サイン・小サイン

忙しい4日間の初日。

労働(言い方)はちょっと最後バタバタしたけど(だいたいこういう急いでるとき、なんか足止めされるよね)なんとか切り上げて、夜、MC仕事本番。大泉学園ゆめりあホールでの「Mikn Project Op.2-1」コンサート。

ヴァイオリニスト西谷国登さん、ピアニスト石渡真知子さん、チェリスト大木翔太さんのトリオによる演奏会。曲間のトークに参加しました。
お三方とも演奏が素敵なのはもちろんだけれど、喋れる方々なので、とにかくまわし役に徹した。それぞれのキャラクターが見えて、演奏をより楽しめるような形になっていれば良いなと思う。
演奏するわけでもないし、ただ喋るだけなのだが、なんだかんだでステージに上がるのは緊張するので、とにかく無事、事故なく終わって良かった。

で、今回は出演のお三方のサイン会もあって、当然僕はサインする“わけがない”んだけど、前回も声をかけてくれた小さなファンの方がいて、押しつけ気味にサイン書かせていただいた。その前に音楽友達もねだってくれたので4度ぐらい練習してからだったので、少しはカッコよく書けたと思う(身内以外に書いたの初めてだったよ)。
ありがたい限りです(マジで!)。
ハリウッドデビューしても、この思いを忘れずにいるよ(そういうこと言う自体でもうアレね)。
明日は坂戸市のTTT森の響ホールにてOp.2-2の演奏会があるので、それはもう、単純に演奏を楽しみに行く。

で、明後日、香川に旅立つのだが、あいかわらず旅程をちゃんと決めてない。明日午前中に決めます。とはいえ台風の強風域と飛行経路がニアミスしそうな感じなので、果たして無事行けるのかどうか。まあ飛行機が欠航しない限りは行きます。

そして夜はツイキャスしますよ。忙しい最中に、より忙しくしてみるという、自分にドSな態度をとる。精神的にどうかしちゃってんのかもしれない(どうかって何よ?)。

まあ、全てのことをうまくこなせるかどうかは、もう明日の朝、早め(といっても8時)に起きられるかにかかっている。
まずは起きることに精一杯努力してみます!

第10回 西谷国登ヴァイオリンリサイタル Special Ver.

西谷国登さんの第10回ヴァイオリンリサイタルだった。

2年前の5月に予定していた公演が新型コロナ感染拡大の影響で中止となり、自身のリサイタルは前回2018年から実に4年ぶりの実施となる。
国登さんの「同じものをやるのではなく、バージョンアップしたい」という性格からか、2年前に予定していた曲目ではなく、今回のために新たに組み直したプログラムで開催された。

そのプログラムは
ブルッフ『ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調』(弦楽オーケストラ版)
サン=サーンス『ヴァイオリン協奏曲第3番 ロ短調』(弦楽オーケストラ版)
フランク『ヴァイオリン・ソナタ イ長調』

「メインの曲目として1曲ヴァイオリン協奏曲を弾く」というのが一般の演奏会なのにそれを2曲続けて弾き、その後ヴァイオリン・ソナタという、メインディッシュ3つ、あるいは某テーマパークに例えれば、マウンテン系含む180分待ちのアトラクション3連続みたいなラインナップ。
聴いているほうは単純に楽しめばよいが、協奏曲のソロを2曲やり、そのあとソナタを弾くというのは、普通ではありえないプログラミングだ(いや、やはり聴くほうもエネルギーが必要かもしれない)。

本来はフルオーケストラの楽譜である協奏曲2曲とも、弦楽オーケストラ用に西谷さんが自らアレンジして、その曲のソリストをしながら、オケの指揮も同時に振るという、とてつもない荒業にチャレンジしている。
果たしてそんな荒業が可能なのか、というと、これが本当に素晴らしい出来なので恐れ入る。
ソリストとして最後まで集中を切らさないエネルギーもさることながら、指揮も片手間で「フリ」をしているのではなく、きちんと振って曲に色を付ける。

そしてこの弦楽オーケストラ版のアレンジがすごい。
初めからこういう譜面が書かれていたかのような完成度。実際に譜面を見たわけでも(ましてや読めるわけでも)ないが、全弦楽器が合わさったものを聴くと、全ての楽器が共鳴しているように聴こえた。
ソリストに対して伴奏に徹するのではなく、オケとして聴かせどころを作ったアレンジで、普段、オーケストラの音楽監督をしている西谷さんの能力が遺憾なく発揮されたように思う。
オケとのフレーズの受け渡しやフィンガリングの共演など、随所に掛け合いを取り入れて弦楽曲の面白さ、技術の高さを感じさせた。

そして、それをきっちり音楽に昇華させるオーケストラのメンバーも圧巻。
コンサートマスター伊東佑樹さんをはじめ全員、1音1音がなぜ譜面のその場所に書かれているのか、西谷さんの意図をきちんと理解して弾いている様子が見事だった(そして何より皆さん楽しそうに弾いていた)。

濃厚で迫力のあるヴァイオリン協奏曲2曲のあとは、休憩をはさんで、ピアニスト新納洋介さんとのフランクのヴァイオリン・ソナタ。
二人でCDレコーディングしている経験や、すでに演奏会でも共演しているので、お互いをよく知っていることもあり、聴く方も安心して曲に浸ることができる。その中でも阿吽の呼吸で「遊び」を取り入れ、この日、この瞬間にしか聴けないフランクのヴァイオリン・ソナタで楽しませてくれた。

アンコールの『チャールダッシュ』では、「こんなチャールダッシュあるの?」と思えるほどの自由かつ楽しい演奏を披露され、一流の音楽家の共演を鑑賞することができたことを嬉しく感じた。

 

前半は、代名詞でもある「ヴァイオリニスト兼指揮者」としての総合的な音楽の素晴らしさを表現し、後半は新納さんのピアノを信じて、思う存分楽しみ、楽しませる演奏。まさに「西谷国登リサイタル」という名にふさわしい、他の演奏家では実現できないステージだった。

それをこなせたのは、4年間思うように演奏会ができなかった月日の中で培った、「お客様を楽しませたい、西谷国登の表現する世界を存分に感じてもらいたい」というアーティストとしての覚悟なのかもしれない。
彼にしかできない舞台を作り上げ、唯一無二の境地に至ったとすれば延期の2年は無駄ではなかったろう。

そして、その余韻に浸る間もなく、来年の9月23日にはすでに次回のリサイタルが予定されている。自分の演奏を楽しみに来る方々に期待以上のパフォーマンスを披露し、それでいて、また新たな境地を見せるくれるに違いない。

キャス人間

ツイキャス「ザンクとルーペの読書感想文」の配信日だった。

本編は、芥川賞作家で芸人の又吉直樹著『人間』。

面白いな、と思ったのは、僕とルーペさんで主人公像が全然違うこと。
語り手(主人公)の言うことがどこまで事実なのか(真実ではあるのだろうけど)、という不穏さを感じた小説だったので、そのあたりの影響かも、と思うとやっぱり只者ではない作品なんだよね。
太宰治の『人間失格』を読んでから、もう一度読んでみようと思う(なぜかはツイキャス聴いてみてください)。

そしてアフタートークは、夏川椎菜の2nd LIVE Tour MAKEOVER(渋谷公演)の感想。

44回(22回×2)の「読書感想文」の中でナンちゃんを取り上げるのは6回目。
もっと多い気がしていたが、昨年の7月以来、約1年ぶりだった。いかに1年目のアフタートークを夏川椎菜頼みにしていたかがわかる(まあ初回ダブルで『ぬけがら』だしな)。
ナンちゃんの小説『ぬけがら』が出るっていうので、感想キャスやろうと思い立ったのがこのツイキャスが始まるきっかけだった。今22回も続けられて、『流浪の月』の映画を扱った回は586回(ブログ執筆時)も再生されている。
純粋に「ルーペさんとお題を決めて語り合うのが楽しい」というモチベーションでやっているものが、こうやっていろんなひとに聴いてもらって、楽しさを共有できていると思うと嬉しい。楽しいことがあるというのはありがたいことです。

8月の課題図書は決まっているのだけれど、7月はまだ。
でもこれからも続けますので、どうぞお付き合いくださいませ。